2020-12-13 Sun 01:45
ご報告が遅くなりましたが、大手製菓メーカー(株)ロッテのウェブマガジン『Shall we Lotte(シャル ウィ ロッテ)』での僕の連載記事、「お菓子の切手」の記事がアップされました。今回は、こんな切手を取り上げています。(画像はクリックで拡大されます)
![]() これは、カリブ海の島国、セントキッツ・ネイヴィス連邦のセントキッツ島が2009年に4種セットで発行したクリスマス切手のうち、クリスマスを象徴するキャンディケインを取り上げた30セント切手です。 ステッキの形をした“キャンディケイン”は年間を通じて販売されているお菓子ですが、クリスマス・ツリーの飾りつけに使われることも多いため、各国のクリスマス切手では定番の題材のひとつになっています。 キャンディケインは、もともと、15世紀初めにフランスの修道院で作られたとされています。当初は、白一色でまっすぐな棒状の形をしていましたが、17世紀に現在のように持ち手の部分が曲がった形になりました。そのきっかけについては諸説ありますが、1670年にケルン大聖堂(ドイツ)の聖歌隊隊長が羊飼いの杖の形にして子供たちに配ったのが始まりとする説や、ユール(北欧を含むゲルマン民族の冬至のお祭り)での木の飾りつけがルーツとする説などがあります。 いずれにせよ、現在ではキャンディケインは羊飼いの杖を表すものというのが一般的な理解で、あわせて、上下さかさまにすると(迷える子羊を導く)イエス(Jesus)の頭文字のJに見えるということで、クリスマス・ツリーの飾りとして定着しました。なお、古い時代のキャンディケインは単色のモノの身でしたが、20世紀初めに紅白の縞模様のものが登場し、現在では色や味のバリエーションも豊富になりました。今回ご紹介の切手では、中央の1本が連邦の国旗を模したデザインになっています。 ところで、今回ご紹介の切手を含むクリスマス切手の中には、セントキッツ・ネイヴィスの国旗のデザインを再現したクリスマス・ケーキを取り上げた3ドル切手も含まれています。 ![]() セントキッツ・ネイヴィスの国旗では、中央のふたつの星は、セントキッツ島とネイヴィス島または希望と自由を象徴し、緑は砂糖のプランテーションとして栄えた国土の肥沃さ、赤は植民地時代の奴隷制から独立・解放への苦闘、黒はアフリカからの伝統(現在のセントキッツ・ネイヴィス国民の多くは、プランテーションの労働力としてアフリカから連れてこられた黒人奴隷の子孫です)、黄色は日光をそれぞれ象徴しているそうです。 切手に取り上げられたケーキの写真を見ると、ベースはチョコレートケーキのようですが、上面の赤はベリー系のジャムでしょうか。緑の部分は、日本だったらほぼ確実に抹茶味でしょうが、かの国ではミントかピスタチオの粉末を使うというのが現実的かもしれません。 ★ 内藤陽介の最新刊 『日本人に忘れられたガダルカナル島の近現代史』 ★ ![]() 出版社からのコメント 【中国の札束攻勢にソロモン諸島は陥落寸前!】 日本軍の撤退後、悲劇の激戦地は いかなる歴史をたどり、 中国はどのように浸透していったのか 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
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