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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 エヴェレストの標高は8848.86m
2020-12-09 Wed 01:22
 中国とネパールは、きのう(8日)、一般にエヴェレストと呼ばれている世界最高峰の山を再測量した結果、標高8848.86mだったと発表しました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      エクアドル・イバンバレーホ(2000)
 
 これは、2000年にエクアドルが発行した「イバン・バレーホのエヴェレスト登頂」の記念切手で、山頂でエクアドル国旗を掲げるバレーホの写真が取り上げられています。エヴェレスト関連の切手は各国からいろいろ発行されていますが、これまで、一般に認知されていた山の高さ“8848m”の表示があるので、選んでみました。

 イバン・バレーホは、1959年12月19日、エクアドル中部のアンバトで生まれました。もともと、趣味で登山をしていましたが、化学を専攻していた学生時代の1978年、エクアドル最高峰のチンボラソ山(6310m)の登頂に成功。数学教師として大学に職を得た1988年以降、ペルーのブランカ山群を皮切りに、ラテンアメリカの高峰に挑みました。

 1995年には、欧州のモンブランとネパールのイムジャツェ(アイランド・ピーク)を制覇。さらに、1997年にはマナスルに登頂し、初めて8000メートル峰を制覇します。そして、1999年にはエクアドル人として初めて、エヴェレスト登頂に成功しました。今回ご紹介の切手は、これを記念して発行されたものです。

 2000年以降、バレーホは教職を辞してプロの登山家となり、次々と8000m峰を制覇。2008年5月1日、ネパールのダウラギリ(8167m)の登頂に成功し、8000m峰14座をすべて制覇しました。14座制覇は世界的には14人目ですが、南半球出身者としては、現在にいたるまで唯一の偉業です。

 さて、エヴェレストの高さについては、これまで、1954年にインドが測量した8848mとするのが一般的で、1975年には中国もこの数字を公式データとして受け入れていました。

 しかし、世界最高峰の山の高さについては、調査によって異なる数値がいくつか提示されており、1999年には、米国の調査チームが全地球測位システム(GPS)で調査した結果、エベレストの高さを8850mと発表。すると、チベット併合を正当化する意図を込めて、この山をチベット語名の“チョモランマ(珠穆朗瑪)”と呼んできた中国は、GPSによる米国の調査(とその結果が中国の公式発表と異なること)を内政干渉として反発。山頂の氷雪部分を除いた8844mを自国の公式の標高とします。一方、ネパールは従来通り、8848mという見解を維持していました。

 その後、2015年4月、ネパール地震が発生すると、その影響で高さが変化した可能性も指摘されていたため、2017年、ネパールが独自の測量を開始。さらに、2019年には中国の習近平国家主席がネパールを訪問し、両国が共同で新たな標高を共同で発表することで合意し、今回の再測量と新データの発表となりました。

 なお、今回の再測量の目的として、中国政府は、中国独自のGPS“北斗”による測量や国内測量計器・装置の全面的な使用、航空重力技術を応用した測量の精度向上、3D技術を活用した自然資源状況の表示などをあげており、測量で得たデータが軍事利用されることはほぼ確実とみられています。


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