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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 インド旅客機が着陸失敗
2020-08-08 Sat 03:12
 インド南部ケーララ州のカリカット空港で、きのう(7日)、乗客乗員190人余りを乗せたドバイ発のエア・インディア・エクスプレス旅客機が着陸に失敗。この記事を書いている時点で、少なくとも14人が死亡、少なくとも89人が病院に搬送され、その多くは重傷者だそうです。というわけで、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      英領インド・カリカット発カバー

 これは、第二次大戦中の1942年3月12日、カリカットからコーチン宛に差し出され、その後、スイス宛に転送されたカバーで、途中、英領インド当局による開封・検閲を受けています。

 さて、ポルトガルの探検家、ヴァスコ・ダ・ガマ来航の地として知られるカリカット(厳密には、ガマは近郊のカッパドに上陸し、そこからカリカットの王宮に向かっています)について、現在、現地語地名の日本語カナ表記としては、コーリコード、コージコード、コジコーデ、コジコデなどが用いられています。今回の事故に関しては、このうち、時事通信の表記に従い、コジコーデと報じているメディアが多いようです。

 インド連邦政府の公的共通語は英語とヒンディー語ですが、インド憲法ではこのほかに州の公用語などとして使用しうる22の言語を指定しています。このうち、カリカットを含むケーララ州で使われているマラヤーラム語もその一つで、丸みを帯びた文字は、ヒンディー語で使われるデーヴァナーガリー文字とは全く違います。

 そのマラヤーラム文字では、英名でカリカットと呼ばれている都市の名はകോഴിക്കോട്と書くのですが、これを対照表を見ながらラテン文字のアルファベットに転記するとkōḻikōṭ となるようです。細かい発音はわからないのですが、おそらく、“コーリコート”と発音するのでしょう。これだと、僕たちが馴染んでいるカリカットとも似たような発音です。

 ところが、この地名をヒンディー語で表記するとकोझिकोडとなり、これをラテン文字に転写するとKozhikodeとなります。これをそのまま読むと、時事通信の“コジコーデ”や“コージコード”などとになるのですが、実際には、これでコーリコードと読ませるのだそうです。おそらく、デーヴァナーガリー文字でマラヤーラム語を転記したときの、スペルのズレが理由なのでしょうが…。

 ちなみに、現地の郵便局の現行の消印は、ヒンディー語と英語のバイリンガルで、下に示すように、英文表記は“CALICUT”で、今回事故のあった空港の英文名も“Calicut International Airport”です。したがって、時事通信配信の報道では地名の表記は“コジコーデ”だけでしたが、外国人としては“カリカット”の英名を忌避する必要はなさそうですし、すくなくとも、報道などでは“コジコーデ(英名カリカット)”などと併記する方が親切なのではないかと思います。

      カリカット・現行消印(マザーテレサ)

 個人的な話で恐縮ですが、2011年にインドを旅行した際、デリーからカリカットへの移動には飛行機を使いましたので、今回事故のあったカリカット空港も利用したことがあります。やはり、実際に足を運んだことのある場所でこうした事故が起きると、ほかの地域での事故に比べて心が痛みますね。あらためて、亡くなられた方のご冥福と負傷された方の御快癒を心よりお祈りいたします。

 * 昨日(7日)の文化放送「おはよう寺ちゃん 活動中」の僕の出番は、無事、終了いたしました。お聞きいただきました皆様には、この場をお借りして御礼申し上げます。なお、次回の出演は8月28日(金)の予定ですので、引き続き、よろしくお願いします。
 
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