2020-07-20 Mon 01:32
ドイツ南西部、バーデン・ビュルテンベルク州で、警察官とのトラブルからシュヴァルツヴァルト(黒い森)に逃げこみ、地元メディアから“黒い森のランボー”と呼ばれていた男が逮捕されました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1947年、第二次大戦後、フランス占領下のドイツ・バーデン州(現在のバーデン・ビュルテンベルク州の南西部)で発行されたシュヴァルツヴァルトの切手です。 1945年5月、第二次大戦に敗れたドイツは、米・英・仏・ソの4カ国によって分割占領されました。当初、スターリンは「フランスは軍事的貢献度が少ない」として、フランスがドイツ占領に加わることには反対していましたが、米英両国がフランス国境に面したバーデン地区とラインラント地区をフランスに割り振ることで決着します。 このうち、バーデン地区に関しては、第二次大戦以前のドイツでは、バーデン大公国の流れをくむ“バーデン共和国(実質的には州)”が置かれていましたが、大戦末期の1945年4月、バーデン北部は米欧州陸軍第7軍、南部は自由フランス第1軍に占領されました。戦後の占領区域については、アウトバーンのカールスルーエ=ミュンヘン線 (現在のアウトバーン 8)が米軍地域に含まれるように境界線が設定されたうえで、 バーデン北部が米国占領地域、南部がフランス占領地域とされます。さらに、1945年から1946年にかけて米国占領地域にヴュルテンベルク=バーデン州、フランス占領地域にバーデン州およびヴュルテンベルク=ホーエンツォレルン州が設置。今回ご紹介の切手は、そのうちのバーデン州で発行されたものです。 切手に描かれたシュヴァルツヴァルトは、バーデン=バーデンからフライブルクまでの南北約160キロ、シュトゥットガルトからライン川を挟んでフランス中東部のアルザス地方(アルザス=ロレーヌ)との国境までの東西約60キロにわたって広がる山岳地帯で、密集して生えるトウヒの木によって暗く(黒く)見えることが名前の由来となりました。 さて、バーデン・ビュルテンベルク州では、今月12日、迷彩服姿で弓と矢を持っている不審な男がいるとの通報を受けた地元警察が現場に出動。容疑者は当初、事情聴取に協力的でしたが、最後には所持していた銃で警官を脅して武器を捨てさせ、森の中に逃走したため、警察は、緊急事態要員ら数百人やヘリコプターを動員しての大がかりな捜索をオッペナウ町周辺で行っていました。なお、警察が男の身柄を確保したのは17日でしたが、そのことが正式に発表されたのは19日のことでした。 ちなみに、映画『ランボー』は、ヴェトナム帰還兵のジョン・ランボーが戦友(ランボーが訪ねたときには亡くなっていました)を訪ねて山間の田舎町を訪ねたところ、地元の保安官ティーズルは、トラブルを起こしそうな身なりや顔つきというだけで、ランボーを町から強引に追い出そうとし、さらには逮捕したことから、ランボーが山中に逃走し、保安官や州兵と戦うというストーリーです。作品は、単なるアクション映画の枠を超え、「ヴェトナム戦争によって負った米国の傷」を表現したものとして高く評価されたわけですが、今回逮捕された“黒い森のランボー”に映画に匹敵するほどの深い事情がったのかどうか、現時点の報道を見る限りでは不明です。 ★ 内藤陽介の最新刊 『みんな大好き陰謀論』 ★ 本体1500円+税 出版社からのコメント 【騙されやすい人のためのリテラシー入門】 あなたは大丈夫?賢い人ほどダマされる! 無自覚で拡散される負の連鎖を断ち切ろう まずは定番、ユダヤの陰謀論を叱る! ! 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
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