2020-03-12 Thu 02:10
ヨーロッパでも新型ウイルスの感染が広がる中、オランダのルッテ首相が記者会見で感染拡大を防ぐため“握手自粛”を呼び掛けた直後、うっかり保健当局者と握手してしまう一場面が放送されてしまい、話題になっています。というわけで、きょうはこんな切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1979年にオランダが発行した“ユトレヒト同盟400年”の記念切手で、7本の矢を束ねる握手を描いた同盟の紋章が取り上げられています。 15世紀末、スペインを本拠とするハプスブルク家はベネルクス地方を領土として獲得し、住民に重税を課していました。こうした中で、16世紀に入って宗教改革が起こると、主に現在のオランダ地域を中心とするネーデルランド北部地方ではカルヴァン派が多数を占めるようになり、カトリックのスペインと対立。このため、1568年、ネーデルラント諸州は有力貴族オラニエ公ウィレム1世を先頭に、スペインに対する反乱を起こしました。いわゆるオランダ独立戦争です。 その後、1576年にはヘントの和約が締結され、カトリックとプロテスタントの融和が図られたものの、1579年1月23日、北部のプロテスタント7州はユトレヒトで同盟が結び(ユトレヒト同盟)、各州に自治権があることに合意するとともに、信仰の自由を原則とし、あらためてスペインとの対決を決意しました。同盟諸国は、最終的に1648年のヴェストファーレン条約で独立を承認されたことから、ユトレヒト同盟はオランダ国家の原点とされています。 さて、今月9日、ルッテ首相は国立公衆衛生研究所の所長とともに記者会見し、「これからは握手をやめて、代わりに足と足や、肘タッチなどで挨拶しよう。学校では、握手以外の実用的な方法を教えている。なので、これからは握手をやめよう」と話していましたが、会見終了後、つい所長と握手。首相はすぐ間違いに気付き、所長と慌てて肘タッチで挨拶するとともに、「あ、ごめんごめん、もう握手はだめなんだった。やり直し、やり直し」、「つい、くせで。もうやっちゃだめだよ」と弁解していました。 もっとも、オランダという国は、その起源となったユトレヒト同盟からして“握手”を紋章のデザインにしていますからねぇ。ルッテ首相ならずとも、400年以上続いた習慣を“自粛”するのは、日本人にお辞儀をするなというくらい、難しいことなんじゃないかなぁ。 ★★ イベント・講座等のご案内 ★★ 今後の各種イベント・講座等のご案内です。詳細については、イベント名・講座名をクリックしてご覧ください。 ・よみうりカルチャー 荻窪 宗教と国際政治 毎月第1火曜日 15:30~17:00 3/31、4/7、5/5、6/2、7/7、8/4、9/1(1回のみのお試し受講も可) ★★ 内藤陽介の最新刊 『日韓基本条約』 ★★ 本体2000円+税 出版社からのコメント 混迷する日韓関係、その原点をあらためて読み直す! 丁寧に読むといろいろ々発見があります。 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
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