2020-02-24 Mon 02:56
今月21日に投票が行われたイラン国会選挙は、きのう(23日)開票が終了し、選管当局などの発表によると革命防衛隊などが支持する保守強硬派が全議席の7割以上を獲得。特に、最大の選挙区のテヘラン市では全30議席を独占するなど圧勝しました。なお、投票率は1979年の革命以降の国会選挙では最低の42.57%でした。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
![]() これは、1983年にイランが発行した“革命4周年”の記念切手で、投票箱に票を投じる場面が描かれています。 イランにおける議会は、ガージャール朝時代の1906年憲法に基づいて設置されたのが最初です。当初の議会は国民諮問評議会(下院)と上院から構成され、参政権は男性に限定されていましたが、パフラヴィー朝時代の1963年に発動された“白色革命”の一環として女性の参政権が認められました。 これに対して、ホメイニーは白色革命を伝統的なイスラムの価値観に反するものと断じ、政府に対する抵抗運動として、白色革命の是非を問う国民投票へのボイコット、イラン暦の新年(イラン暦では春分の日が元日)の祝賀行事やアーシュラー(シーア派の伝統的な宗教行事)への不参加などを呼びかけたほか、モスクでの説教でも国王を罵倒します。 このため、1963年6月5日、ホメイニーは逮捕されましたが、これに抗議する暴動がイラン全土で発生し、およそ400人が亡くなる騒動となります。混乱の中、同年10月6日には、女性議員も参加しての第21期国民諮問評議会が招集され、ホメイニもいったんは釈放されましたが、その後も彼は政府批判を止めず、1964年11月、国王と米国を非難して国外追放処分を受けました。 1979年の革命後、上院は廃止されて一院制となり、1989年の憲法改定で“国民諮問評議会”は“イラン・イスラム議会”へと改称され、現在に至っています。現在の定数は290議席で、任期は4年。非ムスリムの宗教マイノリティには5議席が割り当てられていますが、立候補にあたっては、イスラーム法学者6名と一般法学者6名で構成される“監督者評議会”の資格審査が必要です。また、国会を通過した法案はすべて監督者評議会に送られその承認を得なければならないとされています。 2016年に行われた前回の選挙では、対外融和派の改革普及連合が119議席を占めて第1党となり、同じく対外融和派で翌2017年の大統領選で再選を果たしたロウハニ大統領を支えていましたが、今回、対外融和派は50議席程度にとどまる惨敗となり、ロウハニ大統領は厳しい政権運営を迫られることになります。 ★★ イベント・講座等のご案内 ★★ 今後の各種イベント・講座等のご案内です。詳細については、イベント名・講座名をクリックしてご覧ください。 ・よみうりカルチャー 荻窪 宗教と国際政治 毎月第1火曜日 15:30~17:00 3/3、4/7、5/5、6/2、7/7、8/4、9/1(1回のみのお試し受講も可) ★★ 内藤陽介の最新刊 『日韓基本条約』 ★★ ![]() 出版社からのコメント 混迷する日韓関係、その原点をあらためて読み直す! 丁寧に読むといろいろ々発見があります。 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
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