2019-11-13 Wed 01:05
中国と香港の両政府に対する大規模な抗議行動が続いている香港で、昨日(12日)、香港警察は抗議活動の拠点となっている香港中文大構内に部隊を突入させ、学生側と激しい衝突が発生。香港メディアによると、多数の学生らが負傷し、拘束され、現場にいた学長も催涙弾に巻き込まれたそうです。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
![]() これは、1969年、英領時代の香港で発行された“香港中文大学”の切手です。 香港中文大学は、英語での教育・研究を行う香港大学に対抗するため、新亜書院、崇基学院(クリスチャン・カレッジ)、聯合書院が1963年に合併して創設された公立大学で、現在のキャンパスは、新界地区東部、沙田・馬料水丘陵地帯にあります。大学名の“中文”は、中国語のみならず中華文化全般を意味しており、教授言語は中国語(廣東語ならびに北京語)と英語。学生は、各書院と学院に所属する英国式を採用しています。 文学院、工商管理学院、教育学院、工程学院(工学部)、医学院、法学院、理学院及び社会科学院の8学部、61学系(専攻科)を有しており、これまでに、高錕と楊振寧がノーベル物理学賞、ジェームズ・マーリーズとロバート・マンデルがノーベル経済学賞を受賞しているほか、そのビジネススクールはアジア最古のMBAとして世界的にも知られる名門です。 さて、香港では、11月8日、6月以来の抗議行動で警察の直接攻撃による“最初の死者”(ただし、警察に拘束されて所在不明となり、すでに死亡している可能性が高い人、“何らかの事情”で拘置所内で死亡した人などを含めると、これまで数十人の死者が出ているとみられています)が出たことで、市民の怒りが爆発。9日には、亡くなった大学生の大規模な追悼集会が開かれ、約10万人の市民が参加したほか、10日には各地で警察との衝突が発生。一部デモ隊が地下鉄駅の改札口や親中派とみなす飲食店を破壊するなど騒擾が激化していました。 学生たちの抗議行動が行われていた香港中文大学でも、11日から警察による催涙弾の攻撃が続いていましたが、12日になって機動隊が突入。機動隊の攻撃により、校舎は炎上し、一部の学生たちが籠城している(逃げ遅れて籠城せざるを得ない?)状況のようです。1989年の天安門事件を連想させる武装警察の攻撃は、今後、国際社会から強い非難を浴びることは必至で、我が国も、来年(2020年)に予定されている習近平の国賓としての訪日についても中止を検討せざるを得ないでしょう。 また、香港中文大学には、同大の情報技術サービス部が運営するインターネット交換センター、Hong Kong Internet eXchange(HKIX)があり、 2011年のレポートによると、香港でのインターネットメール交換の99%以上は、ここを通じて、海外を迂回することなく直接交換および送信されています。したがって、香港中文大学と HKIX が制圧されてしまうと、香港では、民主化運動のみならず、一般市民の自由な言論や通信活動が大きく制限される事態になりかねません。 我々日本人にできることは限られていますが、現在の状況をできる限り拡散し、香港の民主派との連帯の意思を示すことは重要だろうと思います。 ★★ 講座のご案内 ★★ 12月以降の各種講座等のご案内です。詳細については、各講座名をクリックしてご覧ください。 ・よみうりカルチャー 荻窪 宗教と国際政治 毎月第1火曜日 15:30~17:00 12/3、1/7、2/4、3/3(1回のみのお試し受講も可) ・日本史検定講座(全8講) 12月13日(日)スタート! 内藤は、全8講のうち、2月20日の第6講に登場します。 ・武蔵野大学生涯学習秋講座 飛脚から郵便へ―郵便制度の父 前島密没後100年― 2019年12月15日(日) (【連続講座】伝統文化を考える“大江戸の復元” 第十弾 ) ★ 最新作 『アウシュヴィッツの手紙 改訂増補版』 11月25日発売!★ ![]() 出版社からのコメント 初版品切れにつき、新資料、解説を大幅100ページ以上増補し、新版として刊行。独自のアプローチで知られざる実態に目からウロコ、ですが淡々とした筆致が心に迫る箇所多数ありです。 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
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