2019-11-03 Sun 01:02
9月20日から行われていたラグビーW杯は、昨日(2日)、決勝戦が行われ、南アフリカ(以下、南ア)がイングランドを下して3度目の優勝を果たし、ニュージーランドの最多優勝に並びました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1995年のラグビーW杯で南アが初優勝したことを受けて、同年6月28日に発行された記念切手のうち、優勝トロフィーを掲げる選手(白人キャプテン、フランソワ・ピナールのイメージでしょうか)が描かれています。 1991年にアパルトヘイト政策が撤廃されるまで、南アは長らく国際社会から経済制裁を受け、スポーツの南ア代表は多くの国際大会から締め出されていました。ラグビーW杯に関しても同様で、南ア代表は、1987年の第1回大会(ニュージーランドとオーストラリアの共催)、1991年の第2回大会(イングランドを中心に、フランス、ウェールズ、スコットランド、アイルランドにまたがって開催)への参加が許されませんでした。 しかし、アパルトヘイト廃止後の1992年、ラグビーの南ア代表は国際試合に復帰。復帰当初の南ア代表は国際テストマッチで連敗したことから、南ア体育協会の会議では黒人委員たちが「ラグビー・チームのチームカラーと愛称はアパルトヘイトの象徴である」としてその変更が決議されましたが、大統領のネルソン・マンデラは「今まで我々は白人たちに脅かされた。しかし我々は白人たちを協力する寛容の心で迎えるのだ」と演説し、変更を阻止したとのエピソードがあります。 こうした経緯を経て、南アは1995年の第3回ラグビーW杯の開催国になりました。なお、当時の南ア代表は30人の選手のうち、非白人はチェスター・ウィリアムズ1人だけでしたが、それだけにかえって、チェスターは白人と非白人の融和の象徴となります。 5月25日から6月24日まで開催された大会では、南ア代表は、予選A組を3勝0敗の1位で通過し、準々決勝ではサモアを42-14で、準決勝ではフランスを19-15でそれぞれ下し、6月24日、ヨハネスブルクのエリス・パーク・スタジアムで開催された決勝戦でニュージーランドと対戦します。同大会でのニュージーランドは、予選C組で日本を145-17の圧倒的大差で破るなど(ちなみに、145点というのはラグビーW杯での1試合最多得点記録です)、その強さは圧倒的とみられていましたが、南ア代表は延長戦の末15-12でニュージーランドを下し、悲願の初優勝を果たしました。 2009年に公開された米国映画『インビクタス/負けざる者たち』は、この間の経緯をベースに、マンデラ大統領と代表チームのキャプテン、ピナールがW杯制覇へ向け奮闘する姿を描いた傑作で、監督のクリント・イーストウッドが2010年のゴールデングローブ賞の最優秀監督賞にノミネートされたほか、マンデラ役のモーガン・フリーマンがアカデミー賞およびゴールデングローブ賞の主演男優賞に、ピナール役のマット・デイモンが両賞の助演男優賞に、それぞれノミネートされています。 ★★ 講座のご案内 ★★ 11月以降の各種講座等のご案内です。詳細については、各講座名をクリックしてご覧ください。 ・よみうりカルチャー 荻窪 宗教と国際政治 毎月第1火曜日 15:30~17:00 11/5、12/3、1/7、2/4、3/3(1回のみのお試し受講も可) ・日本史検定講座(全8講) 12月13日(日)スタート! 内藤は、全8講のうち、2月20日の第6講に登場します。 ・武蔵野大学生涯学習秋講座 飛脚から郵便へ―郵便制度の父 前島密没後100年― 2019年12月15日(日) (【連続講座】伝統文化を考える“大江戸の復元” 第十弾 ) ★ 最新作 『アウシュヴィッツの手紙 改訂増補版』 11月25日発売!★ 本体2500円+税(予定) 出版社からのコメント 初版品切れにつき、新資料、解説を大幅100ページ以上増補し、新版として刊行。独自のアプローチで知られざる実態に目からウロコ、ですが淡々とした筆致が心に迫る箇所多数ありです。 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
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