2019-10-16 Wed 11:47
きょう(16日)は、1945年10月16日に国連食糧農業機関(FAO)が創立されたことにちなむ“世界食糧デー”です。というわけで、“食糧”にちなんで、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
![]() ![]() これは、1944年7月、アウシュヴィッツ収容所から、ポーランド南部、カトヴィツェの南30キロの地点にあるプレス(ポーランド語名プシュチナ)宛の郵便物で、受取人に対して、収容者への差し入れの食糧についての注意書を印刷したラベルが貼られています。 ちなみに、使用されている用紙は、収容所から収容者に対して支給されたレターシートには、宛名面に印刷されている注意書が7ヶ条のモノと6ヶ条のモノがありますが、今回ご紹介のものは6ヶ条のタイプです。 さて、アウシュヴィッツの収容者に対しては、外部から食糧などの差し入れが可能で、そのため、収容者が家族・関係者に送る手紙の多くは、自分への差し入れがきちんと届いていることを報告してます。ただし、食品の場合には、収容者の手元に届くまでに傷んでしまうなどのトラブルも多かったようで、そうしたことを防ぐため、収容者からの発信に、今回ご紹介のようなラベルを貼って、収容者へ郵便物を送る人への注意を呼び掛けることも行われました。 その文面は、以下の通りです。 夏半期の小包に関する注意 生の果物、キュウリ、トマト、桃、プルーンなど、さらに、焼き立てのパンなどの腐りやすい食品は気温の高い時期には送ることができない。フレッシュジュース、ガラス容器や瓶に入った液体は破損により同封の荷物や他の荷物を汚損する可能性があるので、送ることができない。 きちんとした包装をすること。 書留書状、書留小包、保険付き書状、速達小包は送ってはならない。普通郵便と(特殊扱いにしていない)小包のみを受け付ける。それ以外のものは差出人に返戻される。 郵便検閲所 さて、2015年に刊行した拙著『アウシュヴィッツの手紙』ですが、おかげさまで在庫がほぼなくなりつつあります。また、同書の刊行以降、 Postal History of Auschwitz 1939-1945 と題するコレクションを、2017年のブラジリア、2018年のエルサレムと2度の世界切手展に出品し、マテリアルもかなり充実してきました。 そこで、このたび、2015年の拙著の増補改訂版を出版することになりました。すでに初校の作業は終了しており、現在、最後の編集作業を進めているところです。正式な発売日や定価など、詳細が決まりましたら、このブログでもご案内していきますので、よろしくお願いいたします。 ★★ 講座のご案内 ★★ 10月からの各種講座のご案内です。詳細については、各講座名をクリックしてご覧ください。 ・よみうりカルチャー 荻窪 宗教と国際政治 毎月第1火曜日 15:30~17:00 11/5、12/3、1/7、2/4、3/3(1回のみのお試し受講も可) ・武蔵野大学生涯学習秋講座 切手と浮世絵 2019年10月31日 ー11月21日 (毎週木曜・4回) 飛脚から郵便へ―郵便制度の父 前島密没後100年― 2019年12月15日(日) (【連続講座】伝統文化を考える“大江戸の復元” 第十弾 ) ★★ 内藤陽介の最新刊 『チェ・ゲバラとキューバ革命』 好評発売中!★★ ![]() 【出版元より】 盟友フィデル・カストロのバティスタ政権下での登場の背景から、“エルネスト時代”の運命的な出会い、モーターサイクル・ダイアリーズの旅、カストロとの劇的な邂逅、キューバ革命の詳細と広島訪問を含めたゲバラの外遊、国連での伝説的な演説、最期までを郵便資料でたどる。冷戦期、世界各国でのゲバラ関連郵便資料を駆使することで、今まで知られて来なかったゲバラの全貌を明らかする。 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
|
||
管理者だけに閲覧 | ||
|
| 郵便学者・内藤陽介のブログ |
|