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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 むらさきのスカートの女
2019-07-18 Thu 03:51

 令和初となる第161回芥川龍之介賞の選考会が、昨日(17日)行われ、今村夏子さんの『むらさきのスカートの女』が選ばれました。というわけで、こんな切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      ギニア・パーニュ

 これは、1965年にギニアで発行された切手で、紫色のパーニュ(巻きスカート)姿で、布地を染めている女性が描かれています。

  現在、ギニアを含む西アフリカ諸国の布地の多くは合成染料を使っていますが、今回ご紹介の切手が発行された1965年当時は、天然素材を使った染物が一般的でした。現在でも、農村部では、伝統的な染織が行われています。その場合、主流となるのは藍染で、その原料には、マメ科の藍植物が用いられています。また、切手では後方の女性が持っている赤色の色素としてはカムウッド、画面左の黄色の色素としてはウコン等が用いられる。文様の入れ方としては、絞りのほか、瓢箪片に文様を掘り込んだ版木を使い、トウダイグサ科の樹皮と金糞(砂鉄を製鉄する際に生じる鉃カス)を煮詰めた染液をつけて押捺する方法もあります。

 切手の女性が着ている巻きスカートのパーニュは、フランス語で“腰巻布”を意味する語で、そのルーツは、ジャワ島を中心に行われてきた伝統的なろうけつ染めのバティックに求められます。19世紀半ば、ジャワを支配したオランダ人はバティックを工業生産化して、ヨーロッパへ輸出。その後、西アフリカの英領ゴールド・コースト(現ガーナ)にもたらされ、そこからアフリカ各地に普及しました。

 パーニュは、一般的には、幅約1メートル、長さ1.8メートルの布で、端に結び紐がついていることもありますが、多くの場合、女性たちは紐を使わず、パーニュを固く巻いてその端を押し込むようにして着用しています。なお、布地は、パーニュ3枚分、5.4メートルの長さで販売されるのが一般的です。

 ギニアを含む西アフリカでは、今回ご紹介の切手に見られるように、Tシャツやタンクトップにパーニュを腰に巻くのが一般的な普段着となっています。ただし、上述のように、パーニュが植民地時代に西洋からもたらされたものであることから、これを“民族衣装”とすることについては少なからず異論もあるようです。


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