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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 コンゴ大統領選、野党候補の勝利発表
2019-01-11 Fri 03:05
 アフリカ中部コンゴ民主共和国(旧ザイール)の選管は、きのう(10日)、昨年12月30日に行われた大統領選の開票結果について、野党“民主社会進歩同盟(UDPS)”のフェリクス・チセケディ党首が38.57%で当選、別の野党候補の実業家マルタン・ファユル氏が34.8%で2位、ジョゼフ・カビラ大統領の後継候補ラマザニ前内相は23.8%で3位だったと発表しました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      コンゴ・国家宮殿

 これは、1964年、“コンゴ共和国時代”時代に発行された国家宮殿(現大統領官邸)の切手です。

 キンシャサの国家宮殿は、もともとは、ベルギー植民地時代末期の1956年、ベルギー本国テルヒューレンの王立中央アフリカ博物館をモデルに、植民地総督の公邸として建設されました。

 1960年、ベルギー領コンゴがコンゴ共和国として独立した際には、初代首相のパトリス・ルムンバがここで植民地支配の終焉を宣言。その後、中国の支援で人民宮殿(現在の国会議事堂)が完成するまで、国会議事堂としても利用されていました。

 さて、2001年、ローラン・カビラ大統領が暗殺されると、息子のジョゼフ・カビラが29歳の若さで大統領に就任。ジョゼフは、2003年、2大反政府勢力のコンゴ民主連合ゴマ派(RCDゴマ)とコンゴ解放運動 (MLC) の指導者2人を含む4人を副大統領とする暫定政権を樹立し、政権の安定化を図ります。そして、2006年には新憲法を施行して大統領選挙を実施し、対立候補のジャンピエール・ベンバを下して大統領に当選。2011年の選挙でも再選されました。

 しかし、2016年12月19日に任期満了となったものの、ジョゼフは大統領選の延期を繰り返すことで政権に居座り続けたため、国内では抗議デモが発生し、治安部隊の反撃により死者も発生しました。このため、いったんは与野党間で2017年末までに大統領選を実施することで合意が成立したものの、選管は有権者登録の遅れを理由に選挙実施を2018年4月以降に延期していました。

 その後、2018年8月8日、ジョゼフは後継候補にラマザニ前副首相兼内務・治安相を指名したことを明らかにし、併せて12月に予定される大統領選挙に出馬しないと発表。ジョゼフとしては、ラマザニを大統領に当選させたのちは、みずからは首相に就任し、2023年の大統領選で返り咲くという“プーチン方式”を目論んでいたとされていますが、今回の選挙結果で、それは潰えたことになります。

 なお、今回の大統領選挙の結果に関しては、コンゴ国内で最も信頼できる有力機関とされ、4万人の選挙監視員を展開させたカトリック教会の独自集計では、事前の世論調査でトップだったファユル候補が最も得票が多かったとされているほか、関係各国からも選管の発表した選挙結果を疑問視する声が相次いでいます。また、ファユル氏支持者の多い西部キクウィトでは、きのう(10日)、選管結果を不満とする抗議行動が発生し、警察の介入により死者が出るなど混乱が続いており、今回ご紹介の切手の国家宮殿が新たな主を正式に迎え入れるには、まだ紆余曲折がありそうです。


★★ 昭和12年学会・第1回公開研究会 ★★

 1月19日(土)、14:00-17:30、東京・神保町のハロー貸会議室 神保町で、昭和12年学会の第1回公開研究会が開催されます。内藤は、チャンネルくららでおなじみの柏原竜一先生とともに登壇し、「昭和切手の発行」(仮題)としてお話しする予定です。

 参加費は、会員が1000円、非会員が3000円。皆様、よろしくお願いします。 


★★ 内藤陽介 『朝鮮戦争』(えにし書房) 3刷出来!★★

      表紙帯つき 本体2000円+税

 【出版元より】
 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る!
 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。

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★★★ 近刊予告! ★★★

 えにし書房より、拙著『チェ・ゲバラとキューバ革命』が近日刊行予定です!
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      ゲバラ本・仮書影

(画像は書影のイメージです。刊行時には若干の変更の可能性があります) 

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