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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 世界の切手:セネガル
2018-07-13 Fri 07:14
 ご紹介がすっかり遅くなりましたが、アシェット・コレクションズ・ジャパンの週刊『世界の切手コレクション』2018年7月4日号が発行されました。僕が担当したメイン特集「世界の国々」のコーナーは、今回はセネガル(と一部日本)の特集です。その記事の中から、この1点をご紹介します。(画像はクリックで拡大されます) 

      セネガル・マリ連邦混貼カバー

 これは、1960年12月29日、セネガルの首都ダカールから米国宛のカバーで、マリ連邦時代の切手(右上の魚を描く30CFAフラン切手)とセネガル切手の混貼使用となっているのがミソです。

 第二次大戦後の1958年、仏領西アフリカ連邦を構成していた各植民地は、完全独立を果たしたギニアを除き、フランス共同体内の自治共和国として独立。これを受けて、同年12月末、旧仏領スーダン(現マリ)の首府バマコにスーダン、セネガル、オート・ヴォルタ(現ブルキナファソ)ダホメ(現ベナン)各地の汎アフリカ主義者らが集まり、新たな連邦を創設してフランスからの完全独立を目指して会議を開催。翌1959年1月17日、セネガルのダカールで開催された“憲法制定会議”において「“マリ連邦”憲法」が承認され、各共和国で国民投票にかけられることになりました。ところが、各地域での国民投票の結果、実際に同憲法を承認したのは旧スーダンとセネガルのみで、“マリ連邦”は、1959年4月4日、両者の連合体としてスタートします。

 フランスは、当初、マリ連邦の独立を承認せず、フランス本国との国家連合を求めていましたが、最終的に1959年12月11-12日にセネガルのサン・ルイで開催されたフランス共同体委員会でマリ連邦の独立を実質的に承認。1960年6月20日、マリ連邦は正式に独立を達成しました。

 ところが、連邦のあり方をめぐって、旧スーダンとセネガルとの対立が生じ、2か月後の8月20日、首都ダカールに閣僚が集まり、連邦の新制度や正式な大統領の選出方法などについて討議していたところ、セネガルがマリ連邦からの独立を宣言。旧スーダン側は国連軍の派遣を要請してこれを阻止しようとしましたが、結局失敗し、1960年9月22日、旧スーダンの領域のみで、あらためて現在の“マリ共和国”として独立し、同月28日、国連に加盟しました。このあたりの事情については、拙著『マリ近現代史』もご覧いただけると幸いです。

 ちなみに、マリ連邦の解体後も、セネガルおよびマリ共和国の双方では、いずれも、連邦時代以来のCFAフランを使用していましたので、マリ連邦時代の切手を継続して使うことが可能でした。今回ご紹介のような混貼カバーは、こうした事情から生まれたものです。

 さて、『世界の切手コレクション』7月4日号の「世界の国々」では、セネガル狙撃兵についてまとめた長文コラムのほか、ギニアアブラヤシ、ダカールのオベリスク広場、サン・ルイ、ダカール・ラリー、セネガルの柔道切手などもご紹介しています。機会がありましたら、ぜひ、書店などで実物を手に取ってご覧ください。

 なお、「世界の国々」の僕の担当ですが、今回のセネガルの次は、7月18日に発売予定の7月25日号でのブルガリアの特集です。こちらについては、発行日の7月25日以降、このブログでもご紹介する予定です。

 
★★★ 全日本切手展のご案内  ★★★ 

 7月20-22日(金-日) 東京・錦糸町のすみだ産業会館で全日本切手展(全日展)ならびにチェコ切手展が開催されます。主催団体の一つである全日本郵趣連合のサイトのほか、全日本切手展のフェイスブック・サイト(どなたでもご覧になれます)にて、随時、情報をアップしていきますので、よろしくお願いいたします。

      全日展2018ポスター

 *画像は実行委員会が制作したポスターです。クリックで拡大してご覧ください。

 なお、会期中の21日、内藤は、以下の3回、トーク・イベントをやります。
 13:00・9階会議室 「国際切手展審査員としての経験から テーマティク部門」
 14:30・8階イベントスペース 「アウシュヴィッツとチェコを往来した郵便」
 16:00・8階イベントスペース 『世界一高価な切手の物語』(東京創元社)


★★★ 近刊予告! ★★★

 えにし書房より、拙著『チェ・ゲバラとキューバ革命』が近日刊行予定です!
 詳細につきましては、今後、このブログでも随時ご案内して参りますので、よろしくお願いします。

      ゲバラ本・仮書影

(画像は書影のイメージです。刊行時には若干の変更の可能性があります) 
 

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 【出版元より】
 中東100 年の混迷を読み解く! 
 世界遺産、エルサレムの“岩のドーム”に関連した郵便資料分析という独自の視点から、複雑な情勢をわかりやすく解説。郵便学者による待望の通史!

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