2018-07-10 Tue 00:28
大手製菓メーカー(株)ロッテの季刊広報誌『Shall we Lotte(シャル ウィ ロッテ)』の第40号(2018年夏号)ができあがりました。僕の連載「小さな世界のお菓子たち」では、今回は、こんな切手を取り上げました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、2004年、“休日”を題材にドイツが発行したヨーロッパ切手で、下段右に三色アイスが描かれています。 ヨーロッパにおける国際間の郵便と電気通信を統括している“欧州郵便電気通信主管庁会議 (European Conference of Postal and Telecommunications Administrations; CEPT) は、毎年、統一テーマの下、加盟各国が思い思いのデザインで切手を発行する”ヨーロッパ切手“の企画を行っています。 ヨーロッパ切手は、1956年、当時の“欧州石炭鉄鋼共同体”の加盟6ヵ国(ベルギー、フランス、西ドイツ、イタリア、ルクセンブルグ、オランダ。翌57年、この6ヵ国がEUの前身、EEC設立のローマ条約に調印します)が同一図案で発行したのが最初で、1959年にCEPTが設立されてからは、CEPTの切手として毎年発行されることになりました。 2004年のヨーロッパ切手のテーマ、“ホリデイ(休日)”にあわせてドイツが発行した切手は、夏のヴァカンスのイメージで、貝殻、カクテル、(自転車の)車輪、サングラス、オレンジ、ビーチボール、ひまわり、方位磁石、麦わら帽子などの円形のモノをずらっと並べていますが、その中には、丸いお皿に盛られた3色のアイスクリームも右下に描かれています。 ドイツ語ではアイスクリームのことを“シュパイゼアイス(Speiseeis)”または“アイス(Eis)”と言い、国民一人あたりの年間消費量は8リットルにもなるそうです。 お菓子屋さんやカフェなどの店頭で注文するときには、まず、ワッフルまたはコーンにするか、カップにするかを決めてから、アイスクリームの種類と数をいうのですが、その際、アイスクリームを数える単位としては、“球”を意味する“クーゲル”という単語が用いられます。なお、消費量としては、1位がヴァニラ、2位がチョコレート、3位がイチゴで、2004年のヨーロッパ切手でも、この3種のクーゲルを一つずつ盛ってウエハースを添えたお皿が描かれています。やはり、ドイツ人にとってのシュパイゼアイスと言えば、この組み合わせが定番ということなのでしょう。 ちなみに、ドイツではこの3つのフレーヴァーをワッフルで挟んだ3色アイスも売られていて、こちらは、考案者とされるヘルマン・ピュックラー侯爵にちなんで、“フュルスト・ピュックラー・アイス(Fürst-Pückler-Eis)”と呼ばれています。なるほど、3種の味を一度に味わう贅沢は、かつては、貴族でなければできないことだったのかもしれません。ただし、現在のフュルスト・ピュックラー・アイスは、スーパーやコンビニなどでも日常的に売られており、誰でもお気軽に侯爵気分を味わえるようになっています。 ★★★ 全日本切手展のご案内 ★★★ 7月20-22日(金-日) 東京・錦糸町のすみだ産業会館で全日本切手展(全日展)ならびにチェコ切手展が開催されます。主催団体の一つである全日本郵趣連合のサイトのほか、全日本切手展のフェイスブック・サイト(どなたでもご覧になれます)にて、随時、情報をアップしていきますので、よろしくお願いいたします。 *画像は実行委員会が制作したポスターです。クリックで拡大してご覧ください。 なお、会期中の21日、内藤は、以下の3回、トーク・イベントをやります。 13:00・9階会議室 「国際切手展審査員としての経験から テーマティク部門」 14:30・8階イベントスペース 「アウシュヴィッツとチェコを往来した郵便」 16:00・8階イベントスペース 『世界一高価な切手の物語』(東京創元社) ★★★ 近刊予告! ★★★ えにし書房より、拙著『チェ・ゲバラとキューバ革命』が近日刊行予定です! 詳細につきましては、今後、このブログでも随時ご案内して参りますので、よろしくお願いします。 (画像は書影のイメージです。刊行時には若干の変更の可能性があります) ★★ 内藤陽介の最新刊 『パレスチナ現代史 岩のドームの郵便学』 ★★ 本体2500円+税 【出版元より】 中東100 年の混迷を読み解く! 世界遺産、エルサレムの“岩のドーム”に関連した郵便資料分析という独自の視点から、複雑な情勢をわかりやすく解説。郵便学者による待望の通史! 本書のご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
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