2018-07-08 Sun 01:08
先月27日に投票が行われたインドネシア南スラウェシ州の州都マカッサルの市長選で、唯一の候補者だったムナファリ・アリフディン氏に拒否を示す票が総投票数の53%超に上ったため、対立候補がいなかったにもかかわらず、きのう(7日)までに同氏の落選が決まりました。これを受けて、マカッサル市にはインドネシア中央政府から代理市長が派遣され、2年後の次回選挙まで市政を担当することになります。というわけで、マカッサルにちなんで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、日本占領下のマカッサルで、戦前のオランダ領東インド(蘭印)切手に“大日本”の文字と海軍占領地区を示す錨のマークを加刷した切手です。 1941年12月8日、オランダに対して宣戦を布告した日本軍は、1942年1月11日、ボルネオ(カリマンタン)島北部のタラカンとセレベス(スラウェシ)島北部のメナドに上陸。以後、島々の占領を進め、3月20日に蘭印の全地域を占領下に置きました。 これを受けて、蘭印地域のうち、スマトラ島とジャワ島をのぞく地域(具体的には、ボルネオ島の旧オランダ領地域、セレベス、モルッカ諸島、小スンダ列島、西ニューギニアなど)は海軍が占領行政を担当することになり、セレベス島のマカッサルに南西方面海軍民政府本部が設置され、その下部組織としての海軍民政部がマカッサル(セレベス島)、バリックパパン(ボルネオ島。後に島内のバンジェルマシンに移転)、アンボン(後にバリ島のシンガラジャに移転)の3ヶ所に設けられ、現地の占領行政を担当しました。 こうした海軍の占領地区では、占領当初、接収した蘭印の切手に“大日本”の文字と海軍を示す錨を加刷した切手が使われていました。このうち、マカッサルで製造された錨加刷切手は、主として、南セレベス州で使用されましたが、マカッサルが海軍占領地域の中心拠点でもあったことから、1944年8月頃から、ボルネオ島、バリ島、モルッカ諸島にも配給され、使用されています。 なお、日本占領時代の蘭印(現インドネシア)の切手と郵便の一端については、拙著『蘭印戦跡紀行』でもご紹介しておりますので、機会がありましたら、ぜひお手にとってご覧いただけると幸いです。 ★★★ 全日本切手展のご案内 ★★★ 7月20-22日(金-日) 東京・錦糸町のすみだ産業会館で全日本切手展(全日展)ならびにチェコ切手展が開催されます。主催団体の一つである全日本郵趣連合のサイトのほか、全日本切手展のフェイスブック・サイト(どなたでもご覧になれます)にて、随時、情報をアップしていきますので、よろしくお願いいたします。 *画像は実行委員会が制作したポスターです。クリックで拡大してご覧ください。 なお、会期中の21日、内藤は、以下の3回、トーク・イベントをやります。 13:00・9階会議室 「国際切手展審査員としての経験から テーマティク部門」 14:30・8階イベントスペース 「アウシュヴィッツとチェコを往来した郵便」 16:00・8階イベントスペース 『世界一高価な切手の物語』(東京創元社) ★★★ 近刊予告! ★★★ えにし書房より、拙著『チェ・ゲバラとキューバ革命』が近日刊行予定です! 詳細につきましては、今後、このブログでも随時ご案内して参りますので、よろしくお願いします。 (画像は書影のイメージです。刊行時には若干の変更の可能性があります) ★★ 内藤陽介の最新刊 『パレスチナ現代史 岩のドームの郵便学』 ★★ 本体2500円+税 【出版元より】 中東100 年の混迷を読み解く! 世界遺産、エルサレムの“岩のドーム”に関連した郵便資料分析という独自の視点から、複雑な情勢をわかりやすく解説。郵便学者による待望の通史! 本書のご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
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