2018-06-13 Wed 02:13
アフリカのサバンナの象徴的な樹木として知られるバオバブの古木(樹齢1000-2500年以上)が、約10年間で大量に枯死しており、その原因が不明であるとの研究論文が、11日付の英科学誌 Nature Plants に発表されました。というわけで、きょうはこの1枚です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1953年、英領南ローデシア(現ジンバブエ)で発行された6ペンスで、バオバブの木が描かれています。 アフリカ等のサバンナ地帯に広く分布しているバオバブはアオイ目の樹木で、巨木を引き抜いて逆さまに突っ込んだようだとも称される形状をしています。大きなものでは高さ30m、直径は10mにも達し、徳利型の幹に水分を蓄え、乾季になると葉を落として休眠します。 バオバブという名称は“種がたくさんあるもの”を意味するアラビア語の“ブー・フブーブ”に由来するとされていますが、アフリカ南部で広く使われるズールー語名は“ウムコーモ”です。果実、葉は食用に、樹皮は薬用、繊維、家畜の飼料などに利用されています。 さて、今回発表された論文は、もともと、バオバブがどのようにしてこれほど巨大になるかを解明することを目的に、2005年から2017年にかけて、存在が確認されているアフリカバオバブの古い巨木、計60個体以上を対象に調査と年代測定を実施したもので、その結果、バオバブの主幹は単一でなく複数の幹が芯となって生長することが明らかになりました。 その過程で、「最古級のバオバブ13個体のうちの9個体(うち最大級のアフリカバオバブ4本を含む)がこの12年で枯死または少なくともその個体の最も古い部分(幹)が枯れた」とことが確認されたのですが、樹齢1000年級のバオバブの古木が、12年の間に、これほどまとまって枯死するのはこれまでに例がなく、それゆえ、ニュースとしてメディアにも取り上げられたというわけです。 なお、バオバブは、焼いたり、樹皮をはぎ取ったりしても、すぐに新たな樹皮が形成され、生長を続けるため、枯死させるのが非常に困難な植物とされています。枯死の原因は疫病ではないことが確認されているため、研究チームは気候変動が部分的に関連しているのではないかと推測していますが、最終的にその仮説の是非を判断するには、今後のさらなる研究が必要だそうです。 ★★★ 近刊予告! ★★★ えにし書房より、拙著『チェ・ゲバラとキューバ革命』が7月刊行予定です! 詳細につきましては、今後、このブログでも随時ご案内して参りますので、よろしくお願いします。 (画像は書影のイメージです。刊行時には若干の変更の可能性があります) なお、当初、『チェ・ゲバラとキューバ革命』は、2018年5月末の刊行を予定しておりましたが、諸般の事情により、刊行予定が7月に変更になりました。あしからずご了承ください。 ★★ 内藤陽介の最新刊 『パレスチナ現代史 岩のドームの郵便学』 ★★ 本体2500円+税 【出版元より】 中東100 年の混迷を読み解く! 世界遺産、エルサレムの“岩のドーム”に関連した郵便資料分析という独自の視点から、複雑な情勢をわかりやすく解説。郵便学者による待望の通史! 本書のご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
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