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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 大坂なおみ、ツアー初優勝
2018-03-19 Mon 11:22
 きのう(18日)、テニスの4大大会に次ぐ格付けの“WTAプレミア・マンダトリー”のBNPパリバ・オープンの女子シングルス決勝が米カリフォルニア・インディアンウェルズで行われ、世界44位の大坂なおみが優勝しました。WTAプレミア・マンダトリーでの日本勢女子の優勝は史上初の快挙です。というわけで、きょうは、この切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      ハイチ・デュヴァリエ革命10年

 これは、1967年にハイチで発行された“デュヴァリエ革命10周年”の記念切手で、大統領とフランソワ・デュヴァリエと七面鳥のシルエットが描かれています。

 1956年末、ハイチではクーデターが発生し、軍事独裁政権が発足しました。翌1957年、民政復帰のために行われた大統領選挙では、厚生相・労働相などを歴任したフランソワ・デュヴァリエが“黒人主義”を掲げて当選。今回ご紹介の切手は、ここから起算して10周年になるのを記念して発行されたものです。

 フランソワは、当初、“進歩派”とみられていましたが、当選翌年の1958年に反デュヴァリエ派のクーデターが鎮定するとこれを機に一挙に独裁化。1964年には終身大統領となり、ヴードゥーの信仰を悪用した個人崇拝を国内に浸透させて国家を私物化し、秘密警察トントン・マクートを駆使して反対派とみなされた国民を容赦なく逮捕・拷問・殺害するなどの恐怖支配を展開しました。

 フランソワは1971年に亡くなりますが、その後、大統領職は息子のジャン・クロードが世襲し、暗黒の独裁時代は1986年にジャン・クロード政権がクーデターで打倒されるまでの約30年間続くことになります。

 デュヴァリエ政権崩壊後の1990年12月、ハイチでは史上初の民主的選挙が実施され、ジャン・ベルトラン・アリスティッドが大統領に当選しましたが、翌1991年9月の軍事クーデターによりアリスティッドは国外に退避。これに対して、国際社会、特に米国は軍の退陣を強く要求し、1994年10月、国連他国籍軍が介入する中で、アリスティッドが帰国し、政権に復帰しました。

 しかし、その後も政治的混乱が続き、1999年1月以降、国会議員の任期切れにより国会は事実上の機能を停止します。また、2000年の大統領選挙ではアリスティッドが当選しましたが、野党側は両選挙の無効を主張し、大統領退陣運動が激化。2004年に入ると、反政府武装勢力による主要都市の占拠が相次ぎ、2月29日、アリスティッドは亡命を余儀なくされました。

 このため、国連安保理は、ハイチ情勢安定化のための暫定多国籍軍を派遣。2004年6月1日には国連ハイチ安定化ミッションが発足し、2006年の大統領選挙ではルネ・ガルシア・プレヴァルが当選します。プレヴァル政権下で治安情勢は徐々に安定するかにみえましたが、2008年4月には国際的な食糧の高騰の影響で物価が暴騰したことをめぐり、大規模なデモが発生。またもや情勢が不安定しつつある中で、2010年に大地震が発生し、混乱はさらに深まりました。

 このように、デュヴァリエ政権以降、混乱が続く中で、多くのハイチ国民が海外に亡命。彼らの多くは亡命先として、地理的に近い米国、ハイチの公用語であるフランス語が通用するカナダのケベック州、そしてフランス本国を選んだ。この結果、ニューヨークとマイアミ、モントリオール、パリに巨大なハイチ人コミュニティが誕生します。

 大坂なおみ選手の父親、レオナルド・フランソワ氏は、こうした状況の下で、ハイチに生まれ、家族とともにフロリダに渡ったハイチ系米国人で、1994年から2000年まで、日本で英会話の教師をしていた際に、なおみ選手の母親である環さんと出会い、結婚。1997年に夫妻の2女として、なおみ選手が生まれました。その後、なおみ選手が4歳の時に、一家はフロリダに移住しています。

 なお、ハイチの現代史と切手については、拙著『事情のある国の切手ほど面白い』でも1章を設けてご説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひお手にとってご覧いただけると幸いです。


★★★ 展示イベントのご案内 ★★★

 第9回テーマティク研究会切手展 3月30日(金)~4月1日(日) 10:30~17:00
 於・切手の博物館(東京・目白)

      第9回JTPC展ポスター

 テーマティク研究会(旧テーマティク出品者の会)は、テーマティクならびにオープン・クラスでの競争展への出品を目指す収集家の集まりで、毎年、全国規模の切手展が開催される際には作品の合評会を行うほか、年に1度、切手展出品のリハーサルないしは活動成果の報告を兼ねて会としての切手展を開催しています。僕も、昨年のメルボルン展に出品した昭和の戦争と日本のコレクションを展示します。

 入場は無料で、会期最終日の1日15:00からは、内藤が展示解説を行いますので、ぜひ、遊びに来てください。(詳細はこちらをご覧ください)

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      パレスチナ現代史・表紙 本体2500円+税

 【出版元より】
 中東100 年の混迷を読み解く! 
 世界遺産、エルサレムの“岩のドーム”に関連した郵便資料分析という独自の視点から、複雑な情勢をわかりやすく解説。郵便学者による待望の通史!

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