2006-08-02 Wed 01:00
昨日の記事でレバノンの国旗の話を書いたら、hillsidecnxさんから、「(バンコクの2軒のレバノン料理屋は)ともにこの木をお店のマークにしている。レバノン人はこの木に特別な思い入れがあるようです。」との書き込みをコメント欄に頂戴しました。そこで、昨日の記事を補足する意味で、今日はこんな切手を持ってきてみました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1966年9月にレバノンが発行した航空切手の1枚です。 紀元前15世紀以降、現在のレバノン南部を中心に都市国家を形成したフェニキア人は、紀元前12世紀頃から海上交易を活発に行って北アフリカからイベリア半島まで進出して、地中海の覇者として君臨しました。切手は、そうした彼らの交易活動により、地中海全域にアルファベットが伝えられたことを表現するために、フェニキア人の活動範囲を示す地図を題材として取り上げたものです。 まぁ、現在、レバノンに居住している人々がフェニキア人の直系の子孫であると言い切れるかどうかは微妙な問題ですが、かつてのフェニキア人の居住地域(現在のシリア領タルトゥースの近辺から、同イスラエル領カルメル山までの地中海沿岸)が、ほぼ、現在のレバノン国家の領域を重なっていることから、レバノン人の語るレバノンの歴史はフェニキアからスタートするのが常道となっています。 ところで、そのフェニキア人の繁栄を支えたのが、レバノン山脈で採れるレバノン杉でした。レバノン杉はマツ科の針葉樹で、腐敗や虫に強く、フェニキア人じしんが船の建材として活用していただけでなく、エジプトやメソポタミアにも輸出され、宮殿や神殿の天井などに使われていました。古代イスラエル王国のソロモン王は、神殿を建設に際してレバノン杉を求めたといわれていますし、エジプトのピラミッドから発見された“太陽の舟”もレバノン杉でできています。 こうしたことから、レバノン杉は古代フェニキア人の繁栄を象徴するものとして、フェニキア人の末裔を自認するレバノンの国旗にも大きく取り上げられているというわけです。 もっとも、古代においてはレバノン全域に数多く自生していたレバノン杉ですが、長年の伐採がたたり、現在は約1200本しか残っていません。それでも、樹齢1200年以上のものが400本ほどあるそうですから、杉に込められた悠久の歴史を感じずにはいられません。なお、現在、レバノン中央部にあるカディーシャ渓谷は、レバノン杉の自生地としてユネスコの世界遺産にも登録されています。 |
#258 レバノン国旗の意味
内藤先生
ご丁寧な解説感謝いたします。 なるほどレバノン人はフェニキア人の子孫を自認してる誇り高き民族なんですね。 ところで、”レバノン政府の正規軍”というものは今何をしてるんでしょうかね?各派の武装勢力しかないのでしょうか?切手には関係有りませんがご存知の方いらっしゃったら教えてください。 #259 ついでですが
私は”東南アジア美術館”というブログをYAHOOでやってますので、たまに見ていただけますと光栄でございます。
http://blogs.yahoo.co.jp/hillsidecnx #262 コメントありがとうございます
hillsidecnx様
コメントありがとうございます。簡単ですが、レバノン国軍について簡単に記事を書いてみたので、ご覧いただけると幸いです。 なお、“東南アジア美術館”をリンクに加えました。 これからもよろしくお付き合いください #266 リンクありがとうございます。
非常に光栄です。感謝いたします。
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