最近でこそ、世間的にはテロといえば“イスラム原理主義”というイメージが固まっているようですが、一昔前までは、テロの主流を占めているのは、左翼過激派による、いわゆる“赤色テロ”でした。
“白色テロに対する赤色テロ”という用語は、すでに、マルクスの文献にも登場していますが、それを大掛かりに実行に移したのは、ロシア革命を経て誕生したレーニンのボルシェビキ政権です。
すなわち、1918年9月、いわゆる“赤色テロル”政令を発して、「白色テロには赤色テロで応じる」ことを宣言したレーニンは、秘密警察チェカ(非常委員会、後のKGB)を動員して反対派を徹底的に粛清。国民に密告を奨励して、“反革命”とみなされた人々を次々と逮捕し、処刑しました。チェカの地方幹部が暗殺されると、ボルシェビキ政権は、報復として市民500人を銃殺。さらに、ロマノフ朝最後の皇帝であったニコライ2世一家がエカテリンブルグで全員処刑されると、“赤色テロ”による恐怖支配に全世界は震撼しました。
さて、レーニンの切手は、ソ連をはじめとする(旧)共産圏諸国で山のように発行されていますが、今回は、とりあえず、定番モノとして、↓の切手をご紹介しておきましょう。
この切手は、1924年にソ連が発行したもので、レーニンの肖像切手としては最初のものです。切手収集家の視点からすると、目打(周囲のミシン目)の有無を始め、製造面・使用目でバラエティがいろいろある切手なので、分類して楽しめる題材となっています。もっともこの切手ばかり並んでいるアルバム・ページというのは、知らない人が見たら、かなり異様な雰囲気だと思いますが…。
なお、全世界で発行された膨大な数のレーニン切手を一つずつ丁寧に分析していくと、世界各国の共産主義の歴史を考える上でいろいろと面白い事実が拾えるのではないかと思います。いずれ、手を付けてみたいテーマの一つではあるのですが、果たして、仕事としてまとまった形に出来るのはいつのことになるやら…。この日記を書きながら、今すぐやらねばならぬことの多さに改めて気づき、少し気分が鬱になりました。