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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 七七抗戦紀念
2005-07-07 Thu 08:44
 今日は7月7日。七夕の日ですが、盧溝橋事件の日でもあります。

 どんな国にも建国の“神話”というものがあります。その神話は、洋の東西を問わず、いまの体制が出来上がる前は、いかに国民が悲惨な目にあっていたかを強調し、現在の体制を築くために、いかに多くの英雄たちが血を流して倒れたか、ということを強調するという基本パターンがあります。たとえば、アメリカの独立戦争やフランス革命が、それぞれの国の教科書で子供たちにどのように教えられているか、ということを考えれば、そうした神話の持っている意味はすぐに了解されるはずです。

 そうした“神話”を信じ込んでいる人たちに向かって、客観的な歴史的事実と彼らの神話との齟齬を指摘してみても、おそらく、不毛な議論にしかならないでしょう。熱心なクリスチャンに対して、聖母マリアの処女懐胎は科学的事実としてありえないと噛み付いてみたところで、彼らに対する嫌がらせにしかならないのと同じことです。

 それゆえ、孫子の「敵を知り己を知らば百戦して危うからず」ではありませんが、それぞれの国の“神話”を信じている人たちと付き合うときは、彼らの世界観はそうした“神話”に基づいて出来上がっているのだ、と割り切ってお話しするしか、お互いにいやな思いを最小限に食い止める方法はなさそうです。

 現在の中国共産党政権にとって、抗日戦争を勝利に導いた共産党という構図は、彼らにとっての建国神話の重要な部分を占めています。そして、その神話が、国内の矛盾に対する国民の不満をそらすための手段として活用されることで、中国国内の反日感情が増幅されてきているのは(我々にとっては迷惑至極なことですが)、皆様ご存知の通りです。

 そういうわけで、中国切手の中には抗日戦争を題材にしたものが少なからずあり、その中には、当然、戦争の出発点となった“七七”関連を取りあげたものもあります。“七七”というのは、中国側の盧溝橋事件の呼称で、事件が起きた日付にちなんだ名前です。満州事変のきっかけとなった柳条湖事件を、その発生の日にちなんで、“九一八”と呼ぶのと同じ発想です。

 さて、その七七関連の切手のうち、今日はこんなものをご紹介しましょう。

解放区小型シート

 この小型シートは、1947年の“七七”10周年にあわせて、東北(旧満州)の解放区(共産党支配地域)の郵政を管轄していた東北郵電管理総局が発行した切手を四種、収めたものです。

 1945年、抗日戦争の勝利とともに、中国各地で、国民党と共産党の対立が再燃し、国共内戦が勃発します。その過程で、共産党側は自らの支配地域で独自の解放区切手を発行していたわけですが、この小型シートもその一枚というわけです。

 切手のデザインには、抗日戦争の勝利を祝すとともに、目の前の国民党との戦いに向けて支配下の住民の戦意を高揚させる意図も込められていたことは間違いありません。どうせかの国では、今日あたり大々的に“抗日戦争勝利”の特番なんかやったりして騒いで“極悪非道な日本軍と戦う英雄的な共産党”を賛美しまくってることと思います。まぁ、見ていて気分のいいもんじゃありませんが、夕方のニュースではいやでも映像が流れるでしょう。

 しかし、そうしたプロパガンダの背景とは別に、この切手のデザインは、単純に“戦うぞっ”という気合がみなぎっていて、決して嫌いではありません。なんだか、蒸し暑さでだらけきった僕の身体に喝を入れてくれそうですし・・・。

 さて、昼食後のお休みタイムは終了。そろそろ仕事に戻るとしますか。

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