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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 コンゴ男性の難民認定命令
2015-08-28 Fri 22:32
 コンゴ(旧ザイール)で政治活動をし、日本に逃れたマサンバ・マンガラ氏が、難民申請を退けた国の処分取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は、きょう(28日)、「政治的に迫害される恐れがある」として処分を取り消し、難民と認めるよう国に命じました。というわけで、この切手をもってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      コンゴ・カビラ

 これは、1999年にコンゴ民主共和国が発行した切手で、コンゴ民主共和国の成立を宣言するローラン・カビラ大統領が描かれています。

 1965年のクーデターで独裁者となったモブツ・セセ・セコは、国号をコンゴ民主共和国からザイールに変更するとともに、東西冷戦という国際環境を利用し、アフリカにおける“反共の砦”として西側諸国から巨額の支援を引き出していました。

 しかし、海外からの経済支援や国内の鉱山資源などの利益は、モブツとその一族が大半を着服。ザイール国家はモブツ一派の私物化され、経済は衰退しました。ちなみに、1965年からモブツが退陣する1997年までの間に、同国のGDPは65%も減少しています。国民は貧困にあえぎ、中央政府の地方統制も緩んで、反政府勢力は首都キンシャサから離れた東部を拠点に活動を展開するようになりました。
 
 ところで、ザイールの隣国ルワンダでは、1994年4月、フツ人過激派によるツチ族大虐殺が始まります。大虐殺は、同年7月に収束しましたが、この間、150万人もの難民が国境を越え、ザイール東部に流入。“難民”の中には、大虐殺の加害者であるフツ人過激派の残党もかなり含まれていましたが、モブツは彼らのルワンダ侵攻計画を支援。このため、ルワンダ政府は対抗上、ザイール東部の難民キャンプの解体、さらには、不安定要因の根源であるモブツ政権の打倒を目指すようになります。

 1996年8月、モブツは前立腺癌治療のためスイスの病院に入院しましたが、そのタイミングを狙って、ルワンダの支援を受けたバニャムレンゲ(1960年以前からザイールに居住していたツチ人とその子孫)の大規模反乱が発生。モブツの長期独裁政権への不満から、ザイール国民が反乱勢力を支持する中、同年10月、人民革命党のローラン・カビラひきいるコンゴ・ザイール解放民主勢力連合 (AFDL) がツチ人の軍事力を背景にキンシャサに向かって進撃を開始します。周辺のルワンダ、ウガンダ、アンゴラ、ブルンジもそれぞれの思惑からAFDLを支援し内戦に介入しました。いわゆる第1次コンゴ戦争である。

 混乱の中、モブツは南フランスでの静養を理由に帰国せず、AFDLはザイール全土の約4分の3を制圧しました。

 米英仏や国連は調停工作に乗り出し、1997年5月7-8日、ザイール情勢を協議するための“中部アフリカ仏語諸国7ヶ国首脳会議”がガボンで開催され、モブツは“健康上の理由”で次期大統領選挙には出馬しないことを約束。同月16日、キンシャサに戻ったモブツは引退を発表し、翌17日、AFDL軍がキンシャサに入城してカビラは“コンゴ民主共和国”の樹立を宣言し、モブツのザイール共和国は崩壊しました。

 その後、カビラが2001年に暗殺されると、息子のジョゼフ・カビラが29歳の若さで大統領に就任。ジョゼフは、2003年、2大反政府勢力のコンゴ民主連合ゴマ派(RCDゴマ)とコンゴ解放運動 (MLC) の指導者2人を含む4人を副大統領とする暫定政権を樹立し、政権の安定化を図ります。そして、2006年には新憲法を施行して大統領選挙を実施し、得票率44%で大統領に当選。2011年の選挙でも再選され、現在まで政権を維持しています。ちなみに、報道によると、今回、難民認定されたマンガラ氏は、この間の2005年から反政府デモに参加し、2008年に逮捕されそうになったために逃亡して日本に逃れてきたそうです。


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