2015-07-10 Fri 16:31
ご報告が遅くなりましたが、大手製菓メーカー(株)ロッテの季刊広報誌『Shall we Lotte(シャル ウィ ロッテ)』の第28号(2015年夏号)ができあがりました。僕の連載「小さな世界のお菓子たち」では、今回は、こんな切手を取り上げました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、2009年にシンガポールが発行した「伝統的なスイーツ」の切手のうち、アイス・カチャンを取り上げた1枚です。耳紙に印刷された模様が良い感じなので、今回は、耳紙つきでご紹介しました。 常夏の国、シンガポールではさまざまな種類の冷たいスイーツを楽しむことができますが、中でも定番というべきものが“アイス・カチャン”です。 アイス・カチャンは、英語の“アイス”とマレー語で“豆”を意味する“カチャン”を組み合わせたもので、直訳すれば“冷豆”という意味ですが、単なる豆入りのかき氷に留まらない華やかな外見が魅力です。 現在のシンガポールがマレーシアから分離・独立したのは1965年のことですが、この時代は、日本のかき氷同様、削った氷に色つきのシロップをかけただけの“アイス・ボール”が一般的で、街角の屋台などで盛んに売られていました。 アイス・カチャンはアイス・ボールの進化形ともいうべきスイーツで、器に具を入れてから、その上に削った氷を乗せ、さらに具の一部をトッピングとして氷の上からまぶして、シロップや練乳などをかけるというのが基本的な構造です。 具材としては、名前の由来となったゆで豆やスイートコーン、アタップ・チー(食感がナタデココに似たニッパヤシの果実)、グラス・ゼリー(仙草から作られる苦みのある黒色のゼリー)などが定番ですが、最近では、フルーツやアロエゼリー、チョコレートやドリアンなどを用いる店もあります。上からかけるシロップは、合成着色料を使った緑や赤のもののほか、パーム・シュガーから作られる茶色のグラメラカと呼ばれるものもありますが、いずれも、日本のかき氷シロップに比べると甘さ控えめです。また、具材が容器の底に入っているため、食べ進めて行くと色々な味が楽しめる仕掛けになっていますが、氷の溶けるスピードが速いため、次第に、かき氷というよりも、溶けた氷水に浸した具材をレンゲですくいながら飲むという食べ方になることが多いようです。 ちなみに、今回ご紹介の切手に取り上げられているアイス・カチャンは、具材としてゆで豆とスイートコーン、グラス・ゼリーなどを使い、緑・赤・黄色のシロップがかかっています。なお、切手には額面数字の代わりに“1st”と入っていますが、これはファースト・クラス(優先配達郵便)の郵便料金相当を意味していて、料金が値上げされても、永久にファースト・クラスの郵便に使えることを意味しています。 なお、同種のスイーツは隣国のマレーシアにもありますが、こちらでは、アイス・バトゥ・チャンプルという名前でも呼ばれています。これは、マレー語で“氷”を意味する“アイス・バトゥ”と“混ぜる”を意味する“チャンプル”からなる言葉ですが、ちょっと長いので、現地の人たちは“ABC”と略して注文するのだそうです。そういえば、昨年のマレーシア展でクアラルンプールに行ったときも、なんどか現地で“アイス・カチャン”(当時はマレー語の名前を知らなかったので、僕はこう呼んでいました)を食べましたが、事前にこのことを知っていたら、現地の屋台で“ABC サトゥ(ひとつ)”とやってみたかったなぁ。 ★★★ 全日本切手展+韓国切手展のご案内 ★★★ 7月17-19日(金ー日) 東京・錦糸町のすみだ産業会館で全日本切手展(全日展)ならびに日韓国交正常化50周年記念・韓国切手展が開催されます。詳細は、主催団体の一つである日本郵趣連合のサイト(左側の“公式ブログ”をクリックしてください)のほか、フェイスブックのイベントページ(全日展はこちら、韓国切手展はこちら)にて、随時、情報をアップしていきますので、よろしくお願いいたします。 *画像は全日展実行委員会が制作したチラシです。 なお、内藤は、会期中の18日(土)11:00より、韓国切手展の展示解説を、16:00より「切手と郵便に見る韓国現代史と日本」と題する記念講演を行いますので、皆様、是非、遊びに来てください。 ★★★ 内藤陽介の最新刊 『日の本切手 美女かるた』 好評発売中! ★★★ 税込2160円 4月8日付の『夕刊フジ』に書評が掲載されました! 【出版元より】 “日の本”の切手は美女揃い! ページをめくれば日本切手48人の美女たちがお目見え! <解説・戦後記念切手>全8巻の完成から5年。その著者・内藤陽介が、こんどは記念切手の枠にとらわれず、日本切手と“美女”の関係を縦横無尽に読み解くコラム集です。切手を“かるた”になぞらえ、いろは48文字のそれぞれで始まる48本を収録。様々なジャンルの美女切手を取り上げています。 出版元のサイトはこちら、内容のサンプルはこちらでご覧になれます。ネット書店でのご購入は、アマゾン、boox store、e-hon、honto、YASASIA、紀伊國屋書店、セブンネット、ブックサービス、丸善&ジュンク堂、ヨドバシcom.、楽天ブックスをご利用ください。 ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★ 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。 |
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