2014-06-23 Mon 14:13
あす(24日)から、東京国立博物館で特別展「台北 國立故宮博物院-神品至宝-」 がスタートします。というわけで、今日はこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
![]() これは、2013年11月22日、台湾が発行した“故宮古物”の普通切手(グリーティング)で、台北の國立故宮博物院を代表する名品4点が田型で取り上げられています。 切手に取り上げられている“古物”は以下の通りです。 ・翠玉白菜(左上):半分が白、半分が緑のヒスイ輝石を原石とし、空洞などの欠陥箇所を活かして、バッタとキリギリス(多産の象徴とされる)がとまった白菜の形に彫刻したもので、高さ19センチ。もともとは、清朝・光緒帝(在位1875-1908年)の妃であった瑾妃の持参品と考えられています。 ・蓮花式温碗(右上):國立故宮博物院が所蔵する21点の汝窯の製品のうち、最高傑作とされる1点で、高さ10.3センチ、足径センチ。汝窯は、北宋(960-1127年)の時代に官窯(朝廷の直轄窯)に指定された窯で、特有の青釉薬を使用し、淡い青色の表面に細かな貫入が入った青磁として有名です。 ・肉形石(左下):瑪瑙の持つ赤と白の縞目で豚バラの角煮の赤身と脂身の層を再現した宝飾品。翠玉白菜と並ぶ清代工芸の傑作とされています。 ・毛公鼎(右下):1843年、陝西省岐山県で出土した青銅の礼器で、胴内には、名分としては世界最長の32行、500文字が刻まれています。 さて、台北の國立故宮博物院は、国共内戦の末期、蒋介石の国民党政権が台湾へと撤退する際に北京の故宮博物院から精選して運び出された美術品が主に展示されており、その数が合計60万8985 件冊にも及ぶことから世界4大博物館のひとつに数えられています。 中華人民共和国(以下、中共)は、台湾が自国の領土であるという根拠のない妄想を現在なお放棄しておらず、台湾が事実上の独立国であるという現実を示す表現には倦むことなくクレームをつけています。わが国の主要メディアにおいて、そうした侵略者の意向を過度に忖度するあまり、“台湾政府”、“中華民国”、“台湾の国民”といった表現を使わないという自主規制が設けられています。 そうした中共のことですから、國立故宮博物院の文物は国民党によって海外に不正に持ち出された国家財産であるという主張を撤回しておらず(共匪という言葉もある通り、現実には、連中こそが中国大陸を暴力によって不法に占拠し、人民を抑圧し続けている強盗集団でしかないと思うのですが…)、これまで、國立故宮博物院の文物が海外に出展される場合には、展示開催国に対して“返還”を請求する恐れがありました。そこで、2011年、わが国では海外美術品等公開促進法を施行し、中国側からの請求に基づく差し押さえを防ぐための法的根拠を整えたことで、今回の展覧会が開かれることになったというわけです。 そうした経緯を考えるのなら、今回の展覧会については、何が何でも“台北國立故宮博物院”との正式名称を使い続けることで、アジア最悪のファシスト国家の理不尽な圧力には絶対に屈しないぞという姿勢を国民こぞって示すべきだと思うのですが、あろうことか、メディア各社の制作した展覧会ポスターなどからは肝心の“國立”の文字が削除されていたことが発覚。台湾側から抗議を受け、一時は展覧会の開催も危ぶまれるという事件がありました。ちなみに、開催場所の博物館が制作したポスターには、当初から、しっかり“國立”の文字が入っていたそうです。 まぁ、この件に関しては、本日未明までに東京都内の駅などに掲示されている「国立」の文言のないポスターに紙を貼るなどして修正作業をして対応することで決着したということですが、こうしたことが、友好国である台湾の国民を失望させているか、もっと真剣に考えなければなりますまい。 ★★ 講座「切手を通して学ぶ世界史:第一次世界大戦から100年 」のご案内 ★★ ![]() ![]() 7月18日・8月29日・9月19日の3回、愛知県名古屋市の栄中日文化センターで、第一次大戦100年の企画として、「切手を通して学ぶ世界史」と題する講座を行います。 講座では、ヨーロッパ、中東、日本とアジアの3つの地域に分けて、切手や絵葉書という具体的なモノの手触りを感じながら、フツーとはちょっと違った視点で第一次世界大戦の歴史とその現代における意味を読み解きます。 詳細は、こちらをご覧ください。 * 左の画像は講座のポスター、右は講座の内容を紹介した5月20日付『中日新聞』夕刊の記事です。どちらもクリックで拡大されますので、よろしかったらご覧ください。 ★★★ 『外国切手に描かれた日本』 電子書籍で復活! ★★★ 1枚の切手には 思いがけない 真実とドラマがある ![]() ![]() 光文社新書 本体720円~ アマゾン・紀伊国屋書店ウェブストアなどで、6月20日から配信が開始されました。よろしくお願いします。(右側の画像は「WEB本の雑誌」で作っていただいた本書のポップです) ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★ 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。 |
#2337 二つの台湾
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201406/20140616_15021.html
http://www.tohoku-gakuin.ac.jp/info/top/140516-2.html 先日見学してきましたが、この地図には台湾島が二つ描かれている。会場の解説パンフレットにも当時の中国人の台湾認識の程度を示すと言うように書かれていて、このブログの主張「歴代中国王朝が台湾をきちんと統治した事は無い」を思い出したのでした。 #2339 コメントありがとうございます
・悪の漢学者・いわゐ將軍様
なにせ、「台湾生蕃の地は化外に置き政教逮はず」ですからねぇ。もっとも、現在の中共政府の下で冊封体制に組み込まれたいかといえば、たいていの人は、“化外の地”にいることを望むでしょうが。 |
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