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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 シン・フェイン党首拘束
2014-05-01 Thu 10:43
 英領北アイルランドの警察は、きのう(30日)、1972年に起きた女性殺害事件についてカトリック系過激組織アイルランド共和軍(IRA)の政治組織シン・フェイン党の党首ジェリー・アダムズを拘束しました。というわけで、今日はこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

       英セキュリティ・チェック

 これは、1981年6月、イングランド南東部・クロイドンから差し出された郵便物ですが、IRA暫定派による爆弾テロの直後だったため、テロ防止のためセキュリティ・チェックを受けたことを示す角印が押されています。切手が貼られておらず料金収納印で処理されていたり、ビジネス用の窓開き封筒で名宛人の住所氏名がわからないなど、ちょっと不満の残るマテリアルではありますが、まぁご勘弁ください。

 17世紀のクロムウェルによる植民地化以来、アイルランドでは、カトリックが多数を占めるアイルランド人に対する英国国教会の差別や弾圧が続いていました。さらに、1801年、グレートブリテンおよびアイルランド連合王国が成立すると、アイルランドは国外植民地としての自主性も失い、完全に英国に併合され、同化政策が行われました。このため、19世紀に入ると、アイルランドでは英本国からの分離独立を求める民族運動が高揚しましたが、全島32州のうちプロテスタント住民が多数派を占める北部のアルスター6州では、独立に反対する声も少なくありませんでした。

 こうした背景の下、1914年にアイルランドの自治法が成立しますが、第一次大戦の勃発により施行は延期。これを不満として、1916年、独立を求めるイースター蜂起が発生しました。

 英国政府は蜂起を鎮圧しましたが、1918年の議会選挙ではアイルランド独立派が圧勝。翌1919年、アイルランド国民会議で再度アイルランドの独立が宣言され、これを認めない英国との間でアイルランド独立戦争が勃発します。

 1922年、独立戦争の講和条約として英愛条約が結ばれ、アイルランド全島がアイルランド自由国として英国の自治領となると、北アイルランドはアイルランド自由国からの離脱と連合王国への再編入を決定。これにより、北アイルランドは独自の議会と政府を持つ、英連合王国の構成国の1つとなりました。

 もっとも、1922年以降も、北アイルランド内ではカトリックに対する社会的差別が続いたため、1960年代後半になると、米国の公民権運動などの影響を受けて、カトリックとプロテスタント主体の北アイルランド政府との対立が深刻化。アイルランド民族主義過激派は、1969年、私兵組織として“IRA(アイルランド共和国軍)暫定派”を結成して北アイルランド政府に対するテロを展開し、3700人以上が犠牲になりました。

 その後、1990年代になると和平への道が模索されるようになり、1998年4月、包括和平合意(ベルファスト合意)が成立。昨年のG8サミットは、和平合意後の15年間の“成果”を世界に印象づける一大イベントとして企画されたものです。

 しかし、2012年12月3日、中心都市ベルファストの市議会が英国旗掲揚を制限すると決めたことに、プロテスタント系住民が激しく反発。2013年初から1か月以上にわたり暴動が続くなど、宗派間の対立が再燃し、逆に平和がいかにもろいものかが浮き彫りになっています。


 ★★★ 切手が語る台湾の歴史 ★★★

 5月15日13:00から、よみうりカルチャー北千住にて、よみうりカルチャーと台湾文化部の共催による“台湾文化を学ぶ講座”の一コマとして、「切手が語る台湾の歴史」という講演をやります。

 切手と郵便はその地域の実効支配者を示すシンボルでした。この点において、台湾は非常に興味深い対象です。それは、最初に近代郵便制度が導入された清末から現在に至るまで、台湾では一貫して、中国本土とは別の切手が用いられてきたからです。今回の講演では、こうした視点から、“中国”の外に置かれてきた台湾(史)の視点について、切手や郵便物を題材にお話しする予定です。

 参加費は無料ですが、事前に、北千住センター(03-3870-2061)まで、電話でのご予約が必要となります。よろしかったら、ぜひ、1人でも多くの方にご来駕いただけると幸いです。


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