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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 あんたも好きねぇ
2006-04-20 Thu 22:53
 今日(4月20日)は日本の郵便創業の記念日で、毎年、「切手趣味週間」の記念切手が発行される日です。

 今日付けで刊行の『(解説・戦後記念切手Ⅳ)一億総切手狂の時代 昭和元禄切手絵巻 1966-1971』(そういえば、今日からプロフィールの画像を変更しました)でも、切手趣味週間の切手についてはいくつかご紹介していますが、今日はその中から、この1枚をご紹介してみましょう。

髪

 この切手は、1969年の「切手趣味週間」に発行されたもので、小林古径の作品「髪」が取り上げられています。

 小林古径と彼の作品についての説明は、たとえばこのサイトなんかを見ていただければ、僕がくどくど説明するまでもないので、ここでは、この切手について説明しましょう。

 切手趣味週間には毎年、大型の美術切手が発行されるのが敢行となっていますが、1965年から5年間の題材については、1964年の時点で近代日本の名画から5点の候補が選ばれていました。「髪」もそのリストに入っており、そのことは1965年には発表されていました。ところが、当時の感覚では、お堅い郵政がまさか本当に“ヌード切手”を発行するとは誰もが思っていなかったため、「髪」が切手に取り上げられることが発表されると、マスコミ各社はこれを大々的に取り上げ、社会的にも大きな反響を巻き起こします。

 たとえば、1969年2月19日付の『毎日新聞』は「成人向き指定切手 趣味週間、古径の「髪」を発売」との見出しでこの切手のことをとりあげ、「ベストセラー疑いなしの美人画切手が売出される」「お役所にしては珍しい『勇断』と評判になりそうだ」「上半身裸体の芸術作品の登場だけに、郵政省部門でも『成人向きに指定しないと…』とか『俗悪なはだかムードと一緒にされては困る』というためらいもあったが、委員が全員一致で推したので発行に踏切ったという。『なんといわれるかこわいような気持です』――これは係の偽らざる心境である」等と紹介しています。

 はたして、日本初の“ヌード切手”の人気はすさまじいものがあり、東京中央郵便局の切手普及課が行っている通信販売には注文が殺到。発行日10日前の4月10日には申込みが締め切られるほどでした。このため、切手の発行枚数は当初予定の3000万枚から増刷されて3150万枚になっています。

 また、切手発行当日の1969年4月20日には、各地の郵便局で長蛇の列ができ、東京中央局でも、1人5シートの制限販売が行われたものの、発行翌日の21日には在庫が完売となり、翌22日にはそのことを示す掲示が貼りだされるほどでした。

 女性の裸なら何も切手で見なくても、と思わなくもないのですが、やっぱり、なんだかんだ言っても、皆さんこういう切手がお好きなようで…。

 さて、冒頭でもご紹介した『(解説・戦後記念切手Ⅳ)一億総切手狂の時代 昭和元禄切手絵巻 1966-1971』では、今回の“ヌード切手”に大騒ぎとなった収集家たちの物語をはじめ、昭和元禄と呼ばれた時代の切手について、ありとあらゆる情報を網羅的に採録しています。当時の時代の空気を感じてみたいという方は、是非一度、お手にとってご覧いただけると幸いです。

別窓 | 日本:昭和・1966-71 | コメント:2 | トラックバック:0 | top↑
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この記事のコメント
#134 この切手に
萌えた記憶があります。小学校低学年の小僧には、これだけでも萌ぇぇ~の気分にさせられた記憶があります。
2006-04-20 Thu 23:33 | URL | Isaac #CYZAy5w2[ 内容変更] | ∧top | under∨
  Isaac様
 僕の場合は、小学生の頃、この切手を始めてみた時に「萌え~」というより、なんだか気恥ずかしさが先にたった記憶があります。
2006-04-25 Tue 00:21 | URL | 内藤陽介 #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
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