2014-01-14 Tue 22:01
昨年、日本プロ野球の年間本塁打記録を塗り替えたヤクルトのウラディミール・バレンティン外野手が、マイアミ近郊に在住で離婚協議中の妻に対する暴行・監禁の容疑で、現地時間13日(日本時間14日)に逮捕されたそうです。というわけで、きょうはこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1943年8月、バレンティンの故郷であるキュラソー島ウィレムスタットとニューヨークの間を飛んだKLM(オランダ航空)の初飛行カバーです。ちなみに、KLMが大西洋を横断してオランダ本国と蘭領キュラソー植民地を結ぶ航空路線が開設されたのは1934年のことでした。 その後、第二次大戦が勃発し、オランダ本国がドイツの占領下に置かれると、王室と政府はロンドンに亡命。この間の1942年、ウィルヘルミナ女王はオランダの海外領土に戦後の自治拡大を約束するとともに、蘭領キュラソー植民地の島々はオランダ政府の同意の下、米英両国によって占領されました。 ところで、戦時中、ナチス・ドイツの迫害を逃れたユダヤ系の難民の中には、ユダヤ人の受け入れに比較的寛大な蘭領キュラソー植民地のヴィザを取得し、蘭領キュラソー植民地に行くという名目でドイツないしは親独政権の支配地を逃れるケースが少なからずありました。彼らのほとんどは、実際には蘭領キュラソー植民地までは行かず、“経由地”の米国や上海などにそのままとどまり、その地で亡命生活を過ごしていました。なお、杉原千畝の有名な“命のヴィザ”は、日本、米国などを経由して“最終目的地”の蘭領キュラソーへ行くために、リトアニアを通過しなければならないというのが、発給の建前となっています。 今回ご紹介のカバーは、そうした事情を踏まえて、蘭領キュラソーと米国との航空便がスタートしたことを記念して作られたもので、カバーは、キュラソー島のウィレムスタットを発った後、同じく蘭領のアルバ島、ハイチのポルトープランス、ジャマイカのキングストン、キューバのカマグエイを経て、マイアミで米国に入るというルートをたどっています、その後、飛行機はニューヨークまで飛びましたが、このカバーそのものはウィスコンシン州のウォッシュバーンに届けられました。 さて、今回逮捕されたバレンティンは、かつての杉原ヴィザを持ったユダヤ難民とは逆に、シーズン終了後、故郷のキュラソー島に帰った後、キャンプ開始時までには米国を経て日本に戻ってくるというルートをたどる予定だったわけですが、今回の逮捕劇によって、最終目的地へは行かず、しばらくフロリダにとどまることになりました。まぁ、米国の場合は相応の保釈金を支払えば割と簡単に保釈はされるのでしょうが、容疑者ないしは被告人という身分になってしまった以上、日本でプロ野球選手として活動するためのヴィザも、以前よりは取りにくくなったのではないでしょうか。もっとも、今回の一件で奥さんとの離婚は避けられず、そうなると、巨額の慰謝料や損害賠償を支払わないといけなくなるのは確実で、そのためには、是が非でも、日本に来て稼がないといけないというジレンマがあるわけで、バレンティンにとっては、まさに、来日のための“命のヴィザ”を心待ちにしているということなんでしょうかね。 ★★★ 展示イベントのご案内 ★★★ 第5回テーマティク出品者の会 1月17-19日(金ー日) 於・切手の博物館(東京・目白) テーマティク出品者の会は、テーマティクならびにオープン・クラスでの競争展への出品を目指す収集家の集まりで、毎年、全国規模の切手展が開催される際には作品の合評会を行うほか、年に1度、切手展出品のリハーサルないしは活動成果の報告を兼ねて会としての切手展を開催しています。僕も、昨年のバンコク展に出品した朝鮮戦争のコレクションを展示します。入場は無料ですので、ぜひ、遊びに来てください。(詳細はこちらをご覧ください) ★★★ トーク・イベントのご案内 ★★★ 2014年1月2日より、東京・両国の江戸東京博物館で大浮世絵展がスタートしますが、会期中の1月24日13:30より、博物館内にて「切手と浮世絵」と題するトーク・イベントをやります。 参加費用は展覧会の入場料込で2100円で、お申し込みは、よみうりカルチャー荻窪(電話03-3392-8891)までお願いいたします。展覧会では、切手になった浮世絵の実物も多数展示されていますので、ぜひ遊びに来てください。 なお、下の画像は、展覧会と僕のトーク・イベントについての2013年12月24日付『讀賣新聞』の記事です。 ★★★ 予算1日2000円のソウル歴史散歩 ★★★ 毎月1回、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で予算1日2000円のソウル歴史散歩と題する一般向けの教養講座を担当しています。次回開催は2月4日(原則第1火曜日)で、ついで、3月4日に開催の予定です。時間は各回とも13:00~14:30です。講座は途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。 ★★★ 内藤陽介の最新作 『蘭印戦跡紀行』 好評発売中! ★★★ 日本の兵隊さん、本当にいい仕事をしてくれたよ。 彼女はしわくちゃの手で、給水塔の脚をペチャペチャ叩きながら、そんな風に説明してくれた。(本文より) 南方占領時代の郵便資料から、蘭印の戦跡が残る都市をめぐる異色の紀行。 日本との深いつながりを紹介しながら、意外な「日本」を見つける旅。 出版元特設ページはこちらです。また、10月17日、東京・新宿の紀伊國屋書店新宿南店で行われた『蘭印戦跡紀行』の刊行記念トークの模様が、YouTubeにアップされました。よろしかったら、こちらをクリックしてご覧ください。 ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★ 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。 |
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