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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 Merry Christmas!
2013-12-25 Wed 03:37
 きょう(25日)はクリスマスです。というわけで、ストレートにキリスト降誕の場面を取り上げたこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

       マリ・クリスマス(1970)

 これは、マリで発行された1970年用のクリスマス切手のうち、キリスト降誕の場面を描いた1530年頃の宗教画の切手です。

 18世紀後半、ヨーロッパではアフリカに関する学術的な関心が高まると、英国のアフリカ探検協会は、1788年から1798年にかけて、3次に渡るニジェール川の探検隊を派遣。最初の2回の探検隊はニジェール川流域に到達できませんでしたが、1796年になって、ようやく、マンゴ・パークがニジェール川に到達します。

 以後、ヨーロッパ人による西アフリカの探検が進められることになりますが、これに伴い、この地域へのキリスト教の布教も検討されるようになります。

 もともと、カトリック教会はアルジェリアやテュニジアでの信徒の拡大を目指していましたが、北アフリカの地域はムスリムの社会的な影響力が強く、住民を改宗させるのは容易なことではありませんでした。

 このため、1867年にアルジェリアの大司教となったシャルル・ラヴィジュリーは、1868年にサハラ・スーダン知牧区を設定したうえで、1876年1月15日、3人の宣教師にキャラバン隊を組織させ、遊牧民のトゥアレグ人を案内役として、サハラ砂漠を越えてトンブクトゥを目指す布教の旅に送り出します。ところが、宣教師たちは途中でトゥアレグ人の裏切りに遭って殺害されてしまいました。

 その後、1881年12月18日には、あらためて、サハラ越えの宣教師のキャラバンがテュニジアを出発しましたが、またしても途中でトゥアレグ人のガイドに殺害されてしまい、カトリック教会はサハラ越えのルートでトンブクトゥに入り、布教を行うというプランは断念せざるをえなくなりました。

 そこで、1885年、オーギュスタン・アカール神父はサハラ越えではなく、フランスの拠点であったセネガルから西アフリカ内陸に向けて出発し、4月1日、ニジェール内陸デルタの端に位置するセグーに到着。5月2日にはデルタ北端のトンブクトゥに到達し、1899年までに、セグーにおけるカトリック教会の基盤を築くことに成功しました。これとは別に、1843年にセネガルに支部を設けた聖霊修道会も、1888年にはキータに、1892年にはカイに布教のための拠点を設定。こうして、19世紀末、現在のマリの地域がフランスの植民地になるのと軌を一にして、現地での布教活動が進められるようになりました。

 もっとも、フランスの植民地時代を通じて、現在のマリに相当する地域でのクリスチャンの人口は大幅に増えたということはなく、現在でも、人口の90%がムスリムであるのに対して、クリスチャンは5%程度にとどまっています。ただし、フランス植民地時代の名残に加え、クリスチャンの多くは植民地時代以来のエリート層であるため、人口に比べて社会的な影響力は大きく、クリスマスは国の祝日に指定されています。

 クリスマスのイベントとしては、イヴの24日から教会でオールナイトのミサが行われ、主要各言語での賛美歌が歌われるなど、本来の宗教行事としての色彩が色濃く残っており、プレゼントの交換などはごく一部の富裕層の間でしか行われていないそうです。

 なお、キリスト教を含め、マリにおける諸宗教については、拙著『マリ近現代史』でもいろいろとご説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。


 ★★★  絵葉書と切手でたどる世界遺産歴史散歩  ★★★

 2014年1月11日・18日・2月8日のそれぞれ13:00-15:00、文京学院大学生涯学習センター(東京都文京区)で、「絵葉書と切手でたどる世界遺産歴史散歩」と題する講座をやります。(1月18日は、切手の博物館で開催のミニペックスの解説)

 新たに富士山が登録されて注目を集めるユネスコの世界遺産。 いずれも一度は訪れたい魅力的な場所ばかりですが、実際に旅するのは容易ではありません。そこで、「小さな外交官」とも呼ばれる切手や絵葉書に取り上げられた風景や文化遺産の100年前、50年前の姿と、講師自身が撮影した最近の様子を見比べながら、ちょっと変わった歴史散歩を楽しんでみませんか? 講座を受けるだけで、世界旅行の気分を満喫できることをお約束します。

 詳細はこちら。皆様の御参加を、心よりお待ちしております。


 ★★★ 予算1日2000円のソウル歴史散歩 ★★★   

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