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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 飛行機の日
2013-12-17 Tue 14:27
 きょう(17日)は、1903年12月13日に米ノースカロライナ州のキティホークでライト兄弟が動力飛行機の初飛行に成功したことにちなんで、“飛行機の日”だそうです。というわけで、飛行機ネタの中から、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

       航空便宣伝印つきステーショナリー(蘭印)

 これは、1934年4月27日、オランダ領東インド(蘭印)のバタヴィア(現ジャカルタ)からスマトラ島パレンバン近郊のプラージュ宛に差し出された切手つき封筒で、左上には「あなたの荷物も航空便で」との宣伝の印が押されています。印の中に入っている飛行機のイラストが、当時の雰囲気をよくあらわしていていい感じです。

  蘭印の航空事業は、1928年7月16日、現地のオランダ人投資家らにより、オランダ領インド航空(KNILM :Koninklijke Nederlandsch-Indische Luchtvaart Maatschappij)が設立されたことで本格的なスタートを切りました。KNILMは、同年11月1日、バタヴィア(現ジャカルタ)をハブに、バタヴィア=バンドン間、バタヴィア=スマラン間の運航を開始。その後、順次、パレンバン、メダン、スラバヤ、デンパサール、バルクパパン、マカッサル、アンボン、バンジャルマシンなどの国内線に加え、シンガポールやオーストラリアのシドニー、フランス領インドシナのサイゴンなど海外へも路線網を拡大していきました。ただし、KNILMには蘭印とオランダ本国を往復する便を運航する能力がなかったため、シンガポールまで行き、そこから本国のフラッグ・キャリアであるKLMオランダ航空の路線に接続するという方法が取られています。

 その後、いわゆる太平洋戦争が始まり、日本軍が蘭印全域を占領するとKNILMは活動を停止せざるを得なくなりましたが、戦後のオランダ再上陸に伴い、KNILMの活動も再開されます。しかし、インドネシア独立戦争の余波で1947年8月1日には再び運航停止となり、KLMが業務を引き継ぐことになりました。そのKLMもインドネシア独立戦争でのオランダの敗退に伴い、1949年12月27日には完全撤退を余儀なくされ、その後は、インドネシアのフラッグ・キャリアであるガルーダ・インドネシア航空がその路線網を引き継いでいます。

 一方、カバーの宛先になっているプラージュのBPM(=Bataafsche Petroleum Maatstchappij、バターフセ石油会社)は、蘭印での油田開発や製油所の操業・管理、製品販売の実務を担当するため、ロイヤル・ダッチ・シェルが設立した会社です。

 BPMは、1911年、オランダ系のドルチェ・ペトロリアム社を吸収合併し、ドルチェ社がジャワ島で操業していたウォノクロモ製油所(スラバヤ近郊)ならびにチェプー製油所(中部ジャワ)を引き継いだほか、1920年にはスマトラ東海岸中部のジャンビ地方の開発権益を得て、蘭印政庁と50:50の比率で蘭印ペトロリアム会社(NIAM:Nederlans Indische Aardolie Maatschappij)を設立。NIAMの経営はBPMが実質的に取り仕切り、1935年には、ジャンビで採掘された原油をプラージュの製油所に送るパイプラインを敷設しました。

 最終的に、BPMは、パンカラン・ブランダン製油所とランタウやパンカランススなどの周辺油田、系列会社のNIAMが保持するジャンビ油田、プラージュ製油所とパレンバン周辺の油田、中部ジャワのチェプー製油所とカウェンガン、ヌグロボ、レドック、スマンギ等の油田、スラバヤ近郊のウォノクロモ製油所と周辺油田、東ボルネオのバリクパパン製油所と周辺のサンボジャ、サンガサンガ、ムアラ・バダック等の油田を経営し、蘭印における最大の石油企業となっています。

 このあたりの事情については、拙著『蘭印戦跡紀行』でも詳しくご説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。


 ★★★  絵葉書と切手でたどる世界遺産歴史散歩  ★★★

 2014年1月11日・18日・2月8日のそれぞれ13:00-15:00、文京学院大学生涯学習センター(東京都文京区)で、「絵葉書と切手でたどる世界遺産歴史散歩」と題する講座をやります。(1月18日は、切手の博物館で開催のミニペックスの解説)

 新たに富士山が登録されて注目を集めるユネスコの世界遺産。 いずれも一度は訪れたい魅力的な場所ばかりですが、実際に旅するのは容易ではありません。そこで、「小さな外交官」とも呼ばれる切手や絵葉書に取り上げられた風景や文化遺産の100年前、50年前の姿と、講師自身が撮影した最近の様子を見比べながら、ちょっと変わった歴史散歩を楽しんでみませんか? 講座を受けるだけで、世界旅行の気分を満喫できることをお約束します。

 詳細はこちら。皆様の御参加を、心よりお待ちしております。


 ★★★ 予算1日2000円のソウル歴史散歩 ★★★   

 毎月1回、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で予算1日2000円のソウル歴史散歩と題する一般向けの教養講座を担当しています。次回開催は1月7日(原則第1火曜日)で、以後、2月4日と3月4日に開催の予定です。時間は各回とも13:00~14:30です。講座は途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


 ★★★ 内藤陽介の最新作 『蘭印戦跡紀行』 好評発売中! ★★★

 『蘭印戦跡紀行』広告

 日本の兵隊さん、本当にいい仕事をしてくれたよ。
 彼女はしわくちゃの手で、給水塔の脚をペチャペチャ叩きながら、そんな風に説明してくれた。(本文より)

 南方占領時代の郵便資料から、蘭印の戦跡が残る都市をめぐる異色の紀行。
 日本との深いつながりを紹介しながら、意外な「日本」を見つける旅。

 出版元特設ページはこちらです。また、10月17日、東京・新宿の紀伊國屋書店新宿南店で行われた『蘭印戦跡紀行』の刊行記念トークの模様が、YouTubeにアップされました。よろしかったら、こちらをクリックしてご覧ください。


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