2013-10-09 Wed 22:25
きょう(9日)は、万国郵便連合(UPU)の創立記念日にちなんで“世界郵便デー”です。というわけで、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1949年10月1日に“インドネシア”名義で発行されたUPU創立75周年の記念切手で、地球とUPU本部の所在地であるスイス・ベルン市の紋章を組み合わせたデザインとなっています。 1947年、第2次大戦後最初のUPU大会議がパリで開催され、加盟各国は1949年のUPU創立75年にあわせて記念切手を発行するよう、申し合わせがなされました。この結果、1949年5月16日のスイスを皮切りに、100を超える加盟国から続々と記念切手が発行されています。 現在のインドネシア共和国の前身にあたるオランダ領東インド(蘭印)がUPUに加盟したのは1877年5月1日のことで、以後、第二次大戦で蘭印が日本軍によって占領されるまでは蘭印郵政がこの地域の郵政を代表してUPUに加盟していました。 1945年8月15日、日本が降伏すると、2日後の8月17日、スカルノらインドネシアの民族主義者たちは、オランダ軍が再上陸してくる前に、機先を制してインドネシア共和国の独立を宣言。これを認めないオランダとの間に熾烈な独立戦争が勃発します。 独立戦争の時代、共和国側は自らの独自の切手を発行していましたが、国際的には、依然としてインドネシア共和国ではなく蘭印郵政がインドネシア地域を代表する郵政機関として認知されていました。 その後、独立戦争の過程で、1948年1月17日、ジャカルタ沖に停泊する米国軍艦レンヴィル艦上で停戦協定が調印されます。この協定は、共和国の領土をジャワ島の中部と西端部、マドゥラ島に限定するもので、蘭印全体の独立を目指す共和国側にとっては承服しがたいものではありましたが、ともかくも、国際的に“インドネシア共和国”の存在が認められる端緒にはなりました。ただし、同年12月11日、オランダは和平会談決裂を宣言し、同19日から共和国領内への全面攻勢を開始し、インドネシア独立戦争は継続されることになります。 ちなみに、今回ご紹介の“インドネシア”名義の切手が発行される直前の1949年8月23日から、ハーグではインドネシア独立に関する円卓会議が開催され、切手発行後の10月13日に両者の協定が成立。12月6-8日のオランダ議会でインドネシア独立が可決されました。ちなみに、インドネシア側では、戦乱の中で1947年初頭以来、議会が開催されていませんでしたので議員の招集に手間取り、14日になってようやく、オランダとの独立協定が承認されています。 なお、拙著『蘭印戦跡紀行』では、インドネシア独立戦争と当時の切手や郵便物についてもいろいろとご紹介しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。 ★★★ トーク・イベントのご案内 ★★★ 10月17日19:00より、東京・新宿の紀伊國屋書店新宿南店ふらっとすぽっとにて、おくればせながら、拙著『蘭印戦跡紀行』の刊行記念トークをやります。 入場無料でプレゼントもご用意しております。今年の11月は世界切手展<Brasiliana 2013>へ参加のため、ブラジルに行っており、恒例の<JAPEX>でのトークはできませんので、この機会に、ぜひ遊びに来てください。 なお、出版元の告知ページもあわせてご覧いただけると幸いです。 ★★★ 内藤陽介の最新作 『蘭印戦跡紀行』 好評発売中! ★★★ 日本の兵隊さん、本当にいい仕事をしてくれたよ。 彼女はしわくちゃの手で、給水塔の脚をペチャペチャ叩きながら、そんな風に説明してくれた。(本文より) 南方占領時代の郵便資料から、蘭印の戦跡が残る都市をめぐる異色の紀行。 日本との深いつながりを紹介しながら、意外な「日本」を見つける旅。 * 出版元特設ページはこちらをご覧ください。 ★★★ 予算1日2000円のソウル歴史散歩 ★★★ 毎月1回、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で予算1日2000円のソウル歴史散歩と題する一般向けの教養講座を担当しています。次回開催は11月5日(原則第1火曜日)で、以後、12月3日、1月7日、2月4日、3月4日に開催の予定です。時間は各回とも13:00~14:30です。講座は途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。 ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★ 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。 |
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