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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 智積院の桜
2006-03-28 Tue 23:37
 今日(3月28日)東京で桜が満開になったと気象庁が発表しました。

 というわけで、桜がらみの切手の中から、今日はこの1枚を取り上げてみましょう。

大阪万博寄付金つき切手

 この切手は、1970年の大阪万博の費用を集めるため、1年前の1969年に発行された寄付金つき切手の1枚です。

 大阪万博の開催にあたっては、1964年の東京オリンピックの3倍にあたる約1200億円の経費が必要と考えられていました。このため、オリンピックの際の先例に倣い、1966年7月、「日本万国博の準備等のために必要とする特別措置に関する法律」(通称・万国博特別措置法)が施行され、経費捻出のために寄付金つき切手を発行できるよう法的な基盤が整えられました。

 これを受けて、大阪万博のオープン1年前に当たる1969年3月15日に、15円+5円の切手と同時に発行されたのが、今日ご紹介している50円+10円の切手です。

 切手の原画は、京都・智積院の障壁画のうちの「桜図」で、切手としての原画構成は久野実が担当しました。智積院・大書院の障壁画は長谷川等伯父子の作品で、切手になった「桜図」は息子の久蔵が担当したといわれていますが、桃山時代の傑作のひとつであり、桜という画題とともに、“日本”を象徴するものとして切手に取り上げられたものです。

 この切手は準備作業が遅れ、1月8日の報道発表から3月15日の発行日までの周知期間が短かったことから、東京中央郵便局切手普及課による通信販売は行われませんでした。このため、いままでの寄付金つき切手が概して不評であったことを踏まえ、切手の売れ行きを懸念した郵政省は、この切手のシート構成を「見返り美人」、「月に雁」以来の五面構成とするなどの、販売上の工夫をしています。

 しかし、切手そのものの出来栄えが見事だったこともあって、この切手は収集家の前評判もよく、一部の郵趣誌には、発行以前からプレミアム付の完封買入広告が掲載されるほどで、地元・関西では早々に売り切れる局も少なくなかったようです。

 さて、2001年から、僕は<解説・戦後記念切手>シリーズとして、戦後記念切手の“読む事典”を刊行しています。その第4巻として、来月上旬に、1966年から1971年までの封書15円時代の記念切手(もちろん今日ご紹介している切手も含まれています)を扱った『一億総切手狂の時代:昭和元禄切手絵巻 1966-1971』が刊行の運びとなる予定です。

 今後、このブログでも随時、予告記事を掲載していきますので、よろしくお付き合いください。

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