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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 フランス大統領17年ぶり訪日
2013-06-06 Thu 13:29
 フランスのオランド大統領が、きょう(6日)から3日間の日程で、国賓として訪日の予定です。フランス大統領の公式訪日は1996年のシラク元大統領以来17年ぶりだそうです。というわけで、今日はフランス大統領の外遊ネタということで、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

       フランス大統領・バマコ訪問カバー

 これは、1947年4月、当時のフランス大統領ヴァンサン・オリオールのバマコ訪問記念カバーで、押印用に貼られている切手は、アフリカ兵を描く仏領西アフリカ連邦共通の普通切手(10、40、70、80フラン)で、元の持ち主が後から1984年に発行されたオリオールの追悼切手を余白に貼り足しています。

 第2次大戦後のフランス第4共和政は、1946年5月5日に最初の憲法草案が制定されて国民投票が行われたものの否決されたため、6月2日に再度、制憲議会選挙が行われ、再度作成された憲法草案が10月13日に国民投票にかけられて可決されたことで正式に発足しました。

 この結果、フランス植民地帝国はフランス連合として再編され、仏領西アフリカは第4共和国の一部として本国海外省所管の海外領土となります。

 制憲議会には、仏領西アフリカからも、ラミヌ・ゲイエ、セダール・サンゴール、フェリックス・ウーフェ・ボワニ、フィリ・ダボ・シソコ、ヤシヌ・ディアロらが出席し、1946年4月には、アフリカの政治家たちの手により強制労働を廃止する法律(「ウフェ=ボワニ法」)、フランス連合内の住民に市民権を認める法律(「ラミヌ・ゲイエ法」)がそれぞれ提出・可決されました。

 もっとも、こうした法改正によっても、国民議会の総議席600のうち西アフリカ代表に割り当てられているのは17議席のみでしたし、植民地に住むフランス白人が選挙人として別個の身分を認められていたのに対して、アフリカ系の選挙権資格には、地方議会・会議所の議員・前職者、組合の現職・前職者、政府職員、常時雇用者、軍人、聖職者、首長・部族長、当時不動産の所有者、運転免許を持つ者、フランス語またはアラビア語の知識を持つ者、などの資格が必要とされており、アフリカ系が実質的に“二級市民”の地位に留め置かれていたことは否定できません。

 このため、第4共和政の発足を控えた1946年9月、制憲議会に参加したアフリカ出身議員たちは、新体制下での植民地改革を目指して「黒人アフリカの政治的・社会的民主主義の達成を遂行し、自らの発展がそれを立証しているあらゆる組織の連合」を呼びかける宣言を発表。これに呼応するかたちで、同年10月、当時の仏領スーダンの首府であったバマコ(現在のマリの首都)に800人が集まり、仏領西アフリカおよび赤道アフリカにまたがる植民地横断の連合政党、“アフリカ民主連合(RDA:Rassemblement Démocratique Africain)”が結成されました。初代の総裁は、後にコート・ディヴォワールの初代大統領となるフェリックス・ウーフェ・ボワニです。

 RDAは、①アフリカ人の選挙権のさらなる拡大、②人種差別の撤廃や生活条件の改善などを要求として掲げ、当初は政権与党の一角を担っていたフランス共産党と緊密な関係にありました。このため、セネガルのラミヌ・ゲイエやレオポール・セダール・サンゴールなど、フランス社会党と関係の深い大物活動家は参加を控えています。

 このように、アフリカ植民地のナショナリズムが高揚していく中で、第4共和政の大統領となったヴァンサン・オリオールは、フランス連合内の宥和を促進すべく、1947年4月、仏領アフリカ植民地を訪問。4月27-29日にはバマコに滞在しました。現職のフランス大統領がみずからサハラ以南のブラック・アフリカを訪問したのはこれが最初のことです。今回ご紹介のカバーに関していうと、右上に押されている円形の大きな印が大統領訪問の記念印で、大統領が訪問した各都市で大統領の滞在期間中、使用されています。

 なお、仏領スーダンがマリとして独立した後、フランス大統領が初の公式訪問を行ったのは、今回ご紹介のカバーの訪問から30年後の1977年のことで、このときは、ジスカールデスタン大統領の肖像を描く訪問記念切手も発行されています。

 ちなみに、フランスの西アフリカ政策、特に対マリ政策とその現在までの歴史については、拙著『マリ近現代史』でも詳しくご説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。


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