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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 気球で運ばれた郵便
2013-02-27 Wed 18:54
 エジプト南部の観光地ルクソールで、きのう(26日)、観光客ら21人を乗せた熱気球が高度約300メートル上空で爆発して墜落し、日本人4人を含む乗客19人が死亡、2人が負傷しました。亡くなられた方々のご冥福をお祈りします。というわけで、きょうは、こんなマテリアルをご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

        トンブクトゥ=バマコ間気球便

 これは、1972年12月、マリで行われた気球郵便で運ばれた葉書です。

 サハラ砂漠南縁部、モーリタニア、マリ、チャド、ニジェール、ブルキナファソに広がる半乾燥地域であるサヘル地域は、降水の状況が不安定で、しばしば旱魃に見舞われています。

 1960年代、例外的にサヘルの一時的に降水量が伸びたため、マリ政府は北部への開拓農民の移住を奨励しましたが、そのことが、過剰な放牧と薪炭材の過伐採を招くことになり、1968年から降水量が激減すると旱魃被害が発生。100万人が亡くなり、5000万人が影響を受けるなど、深刻な事態に陥りました。

 このため、国連は問題解決のための専門機関として国連スーダン・サヘル事務所(UNSO)を設置したほか、1974年に国際農業開発基金が設立するなどの対策を講じましたが、それと並行して、民間でもさまざまな救済運動が展開されました。

 その一環として、1972年12月29日、国際NGO組織の“キンダードルフ(子供の村)”は、義捐金を集めるチャリティ・イベントとして、トンブクトゥから首都バマコへ向けて気球で郵便を運ぶイベントを実施。これに合わせて、“第1回気球郵便”の記念切手を発行しました。

 今回ご紹介の葉書は、そのキンダードルフによる気球郵便によって運ばれたものですが、トンブクトゥからバマコへ向けて出発したものの、実際には途中で不時着し、そこから先は通常の郵便ルートに乗せられてバマコ経由で宛先地のアウグスブルクに届けられています。

 さて、今年に入ってからのフランスの軍事介入以来、わが国でもマリ情勢に関する報道が目につくようになってきました。そこで、4月下旬をめどに、拙著『マリ近現代史』(仮題)を刊行すべく、現在、鋭意制作作業を進めています。正式なタイトルや価格などが決まりましたら、随時、このブログでもご案内していきますので、よろしくお願いいたします。


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