2013-01-17 Thu 16:16
きのう(16日)、北アフリカのアルジェリア南東部、イン・アメナスの天然ガス関連施設がイスラム武装勢力に襲撃され、2人が死亡、日本人や米国、欧州など41人の外国人が拘束される事件が発生しました。犯人グループによると、犯行の目的はフランスがマリに軍事介入したことに対する報復だそうです。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1962年12月24日にマリで発行された“マリとアルジェリアの人民の連帯を示す全国キャンペーン”の寄附金つき切手です。 第2次大戦まで、仏領スーダン(マリに相当する地域)とアルジェリアはいずれもフランスの植民地でしたが、1959年4月に仏領スーダンの地域がマリ連邦の一部として独立し、さらに、マリ連邦が解体され現在のマリ共和国の発足した1960年8月の時点でも、アルジェリアでは苛烈な独立戦争が続いていました。 結局、1962年7月5日にアルジェリアは独立を達成。こうした状況の下で、アルジェリアと国境を接するマリは、アルジェリアの独立闘争をたたえ、独立後の国家建設を支援するため、今回ご紹介したような切手を発行したというわけです。 さて、現在、混乱が続いているマリでは、北部がイスラム武装勢力の実行支配下に置かれており、国際的なテロの温床になることが懸念されています。先日来のフランス軍部隊の派遣は、そうした状況を踏まえ、テロ組織を封じ込めようというのが大義名分なわけですが、今回の事件を起こした武装組織の指導者でアルジェリア人のモクタール・ベルモフタール元幹部は、人質の安全と引き換えに、マリに軍事介入したフランスの作戦を停止するよう要求。「われわれの要求が受け入れられなければ、それはアルジェリア政府やフランス政府、そして人質が属する国々の責任であり、マリにいるわれわれの同志に対する残酷な攻撃を止めるかどうかは彼ら次第だ」と主張しているそうです。 当然のことながら、現時点でアルジェリア政府と犯人グループとの交渉を拒否しているものの、人質の人数が多いうえ、施設周辺に爆発物を仕掛けられていることもあり、救出作戦は困難が予想され、事件の長期化も予想されています。 いずれにせよ、50年前の国家独立の時代のマリとアルジェリアの連帯が時代を象徴する美談だったのに対して、今回のようなかたちでのマリとアルジェリアの“連帯”はちょっと勘弁してもらいたいですねぇ。一日も早い人質の解放と事件の解決を望むばかりです。 ★★★ テレビ出演のご案内 ★★★ テレビ朝日 2013年1月19日(土) 18:30~ 「雑学家族」 今回は「郵便」の特集で、内藤がゲスト出演して“切手の面白さ”をウンチクとともにお話します。ご視聴可能な地域の皆様は、ぜひ、ご覧いただけると幸いです。なお、放送番組の常として、大事故・大事件など突発的な事情により、番組の内容・放送時間等が変更になる可能性もありますが、予めご了承ください。(番組HPはこちらです) ★★★★ 第1回ヨーロッパ切手展のご案内 ★★★★ 今月19・20日(土・日)の両日、東京・目白駅の切手の博物館にて「第一回ヨーロッパ切手展」が開催されます。今回のお題は“黒海”で、内藤も、北カフカース(コーカサス)を題材としたミニ・コレクションを展示します。競争展ではないので、テーマティクないしは郵便史の作品としてルールに沿ってきっちりまとめたものというよりも、北カフカースに関するマテリアルをいろいろとご紹介するという気楽な内容です。僕以外のコレクションはかなり見ごたえのある内容になっておりますので、よろしかったら、ぜひ遊びに来ていただけると幸いです。 【世界切手展BRASILIANA 2013のご案内】 僕が日本コミッショナーを仰せつかっている世界切手展 <BRASILIANA 2013> の作品募集要項が発表になりました。国内での応募受付は2月1―14日(必着)です。詳細はこちらをご覧ください。 ★★★★ 内藤陽介の最新刊 ★★★★ 『喜望峰:ケープタウンから見る南アフリカ』 いままでなかった喜望峰とケープタウンの物語 美しい風景とウンチク満載の歴史紀行!! アマゾン、セブンネット、版元ドットコム、楽天ブックス、e-hon、hmv、honto、JBOOK、livedoor BOOKSなどで好評発売中! なお、本書をご自身の関係するメディアで取り上げたい、または、取り上げることを検討したい、という方は、是非、ご連絡ください。資料を急送いたします。 ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★ 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。 |
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