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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 ケープ周郵記⑦
2012-10-16 Tue 16:19
 ご報告がすっかり遅くなりましたが、先月25日、「本のメルマガ」第478号が配信となりました。僕の連載、「ケープ周郵記」は、今回は、ステレンボッシュのカフェ、ケープ・トゥ・キューバで、ゲバラ・グッズに囲まれながら昼飯を食べながら、いろいろと考えたという話です。その記事の中から、きょうはこのマテリアルをご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

        南ア国防軍野戦局カバー

 これは、1979年、グルート・コンスタンシアとブドウを描く南アの2.5セント切手を2枚貼り、南ア国防軍の野戦郵便局からプレトリア宛に差し出された封筒です。1979年という時期からして、アンゴラ内戦期のものだ労と思います。

 ポルトガルの植民地だったアンゴラでは、1975年3月、アンゴラ解放人民運動 (MPLA)、アンゴラ民族解放戦線 (FNLA)、アンゴラ全面独立民族同盟 (UNITA) の独立運動の主要3組織がポルトガルと休戦協定を調印し、独立が達せられました。当初、MPLAはソ連とキューバの、FNLAはザイールの支援を受けており、最大勢力で首都ルアンダを掌握していたMPLA主体の政権が樹立されるものとみられていました。

 ところが、親ソ政権の発足を嫌った米国がFNLAを支援したことで内戦が勃発。さらに、米国は、ともかくもMPLAを打倒するため、UNITAも支援します。その際、米国とUNITAの窓口になったのが、南アです。

 南アの国民党政権は反アパルトヘイトの国民運動を弾圧し、その結果、アフリカ民族会議(ANC)の一部は周辺の黒人国家に逃れ、東側諸国の支援も受けながら、反政府闘争を展開していました。なかでも、MPLAとANCは密接な関係にあり、南アのアパルトヘイト体制にとって直接の脅威になると国民党政権は考えていたのです。

 さらに、中国も反ソという観点から、ソ連が支援するMPLAに対抗してUNITAを支援するという混沌とした状況ができあがりました。

 南アは実行支配下に置いていたナミビアを拠点にアンゴラ内戦に介入。ナミビアとアンゴラの国境地帯では、南ア国防軍とキューバ軍およびMPLAが対峙することになります。

 その後、FNLAは首都進攻を試みたものの、キューバ軍事顧問団が指揮するMPLAに大敗。戦闘の続く中で、1975年11月11日、MPLAが“アンゴラ人民共和国”の、UNITAとFNLAが“アンゴラ人民民主共和国”の独立を宣言したものの、国際的には、MPLA政権がアンゴラの正統政府とみなされていました。今回ご紹介郵便物も、こうした状況の下で設置された南ア国防軍の野戦局から差し出されたものです。

 今回の記事では、かつてのキューバと南アの歴史的因縁を考えると、南アの中でも、特に保守的でアフリカーンスの文化が色濃く残っているとされるステレンボッシュの地で、ゲバラの視線を感じながら食事をするという不思議な体験を話の枕として、コンゴ動乱やアンゴラ内戦と南アの関係についてまとめてみました。

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