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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 切手に描かれたソウル:成均館
2012-10-10 Wed 11:15
 ご報告が遅くなりましたが、『東洋経済日報』9月28号が刊行されました。僕の月1連載「切手に描かれたソウル」では、今回は掲載日にあわせて、この切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

       成均館

 これは、1998年に発行された成均館600年の記念切手です。掲載日の9月28日は孔子の誕生日を陽暦に直した日に相当しており、成均館大学校の大成殿では釈奠大祭(孔子の誕生祭)が行われることにちなんでのチョイスです。

 孔子の誕生日を祝うイベントは、東アジアの儒教文化圏では幅広く行われているが、中でも、成均館の釈奠大祭は古い時代の形式がよく保存されているのが特徴とされています。

 成均館は、もともと、高麗王朝の最高教育機関であった国子監で、1298年に成均監、1308年に成均館と改称されました。高麗時代の成均館は開城(高麗の首都で、現在は北朝鮮の支配下に置かれている)にあり、その跡地は、北朝鮮の高麗博物館が置かれています。

 さて、1392年、李氏朝鮮が建国され、首都が漢城(ソウル)に移されると、1398年、成均館も首都に移転し、崇教坊(現在の鐘路区明倫洞)に新たな学舎が建設されました。

 敷地内のメインの建物である文廟は、孔子とその直弟子、さらに、中国・朝鮮半島の偉大な儒学者の位牌を奉納した祠堂で、正殿である大成殿と左右の東廡・西廡、三門から構成されています。このほか、敷地内の主な施設としては、明倫堂(講義室)、東斎・西斎(学生寮)、尊経閣(図書館)などがあります。

 1398年の建物は、わずか2年後の1400年に火災で焼失。1407年に再建されたものの、16世紀末の文禄・慶長の役で焼失しました。ちなみに、開城の高麗博物館の前には「壬申祖国戦争(文禄・慶長の役)で日本軍に破壊されたものを再建し……」との北朝鮮当局の説明板が掲げられていますが、ここで問題になっている建物は高麗時代のもので、成均館がソウルに移転した後は、地元の地方教育機関として利用されていたものです。

 文禄・慶長の役の後、成均館の儒者やOBの官僚たちは資金を集め、まず、1601―02年に大成殿を再建。ついで、1603-04年に東廡、西廡、神門、中門を、1606年に明倫堂と東齋、西齋を再建しました。現在の建物は、1869年の大補修の後のモノです。

 今回ご紹介の切手は、1998年9月25日、釈奠大祭の時期に合わせて発行されたものですが、釈奠大祭の会場となる正殿の文廟・大成殿ではなく、講義が行われていた明倫堂が大きく描かれています。やはり、教育機関としての性格を考えると、切手に取り上げるのは、こちらの方がふさわしいと判断されたのでしょう。なお、切手では建物の背景に銀杏の木が描かれていますが、例年、ソウルの紅葉(黄葉)は10月中旬から少しずつ始まり、11月初旬にピークを迎えるので、その頃に現地を訪れれば、切手と同じような景色が拝めると思います。

 さて、かねてご案内の通り、10月後半から、都内2ヵ所のよみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)で、“T-moneyで歩くソウル歴史散歩”と題する一般向けの教養講座を行います。ソウルの紅葉(黄葉)スポットについても、実際の写真をお見せしながらいろいろとご紹介する予定ですので、よろしかったら、ぜひ遊びに来てください。(詳細は下記ご案内ならびにリンク先ページをご覧ください)

 * 昨日(9日)、カウンターが111万PVを越えました。いつも閲覧していただいている皆様には、この場をお借りして、改めてお礼申し上げます。


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 10月から、下記の通り、首都圏各地のよみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)で8月の韓国取材で仕入れたネタを交えながら、一般向けの教養講座を担当します。詳細につきましては、青色太字をクリックしてご覧いただけると幸いです。皆様のご参加を心よりお待ちしております。(掲載は開催日順)

 T-moneyで歩くソウル歴史散歩
・よみうりカルチャー北千住
 10月17日、12月19日、1月16日、2月20日、3月20日 13:00-15:00 
 
・よみうりカルチャー荻窪
 10月30日、12月4日、1月29日、2月5日、3月5日 13:00-14:30



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