2012-10-02 Tue 22:49
プロ野球のパ・リーグは、きょう(2日)、北海道日本ハムファイターズが3年ぶり6度目(前身の東映時代含む)の優勝を果たしました。というわけで、“ファイターズのV”にちなんで、この切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1945年12月3日、南アフリカで発行された第二次大戦勝利の記念切手のうち、Vの字を背景に国旗を掲げる戦士を描いた1ペニー切手で、左側が英語表示、右側がアフリカーンス語表示の連刷です。 1910年に発足した南アフリカ連邦の初代首相には、ボーア戦争後、旧トランスヴァールの首相を務めたルイス・ボータが就任し、1919年にボータが急死した後はボーア戦争の軍事的英雄で第一次大戦の指揮官でもあったヤン・スマッツが政権を継承しました。これに対して、白人至上主義を唱えるジェームズ・バリー・ミューニック・ヘルツォークらは、ボータならびにスマッツの南アフリカ党政権が親英的で黒人に対して譲歩しすぎると批判。1914年、国民党を結成します。 ヘルツォークの国民党は1924年の総選挙で政権を獲得し、新国旗の制定などアフリカーンス民族主義の制作を推進するとともに、白人労働者にのみ労働者の権利を認める(=黒人およびカラードの労働者には権利を認めない)産業調整法を制定するなど、黒人とカラードの犠牲の上に白人の権利を確保する セグレゲーション(隔離)政策を強烈に推進しました。 1929年、世界大恐慌が起こると、南ア経済も深刻な打撃を受けたため、国難を打開するには超党派の連立政権を樹立すべしとの声が高まり、1933年、国民党と南アフリカ党は合同し、あらたに統一党(連合党とも)が結成されました。首相の地位には、ヘルツォークがそのまま留まります。 しかし、旧国民党内の強硬派は、対英協調路線を掲げるスマッツら旧南アフリカ党との連立を潔しとせず、1934年、ダニエル・フランソワ・マランを党首として純正国民党を結成しました。 1939年、ヘルツォークに代わり、再び政権を掌握したスマッツは、英連邦、すなわち連合国の一員として第2次大戦に参戦することを決定。第2次大戦は連合国側の勝利に終わり、南アは戦勝国としての地位を確保します。今回ご紹介の切手は、そのことを記念して発行されたものです。 その一方で、戦争を銃後で支えた黒人の発言力も増大。連合党がこれに譲歩の姿勢を示すと、もともと、第二次大戦への参戦そのものにも反対していたマランの国民党は連合党政権の“対英従属・アフリカーナー軽視”を徹底的に批判し、1948年の総選挙では、マランの率いる国民党が第一党に躍進。政権を獲得してしまいました。 このときの選挙キャンペーンとして、国民党が大々的に掲げたのが、アフリカーンス語で分離ないしは隔離を意味する“アパルトヘイト”のスローガンで、南アは世界最悪の人種差別主義国家への道を歩んでいくことになるのです。 さて、毎年秋に刊行している彩流社の<切手紀行シリーズ>の第5巻として今月末に刊行予定の拙著『喜望峰:ケープタウンから見る南アフリカ』は、ケープタウンと喜望峰を中心に、今回ご紹介の第2次大戦やアパルトヘイトの話を含む南アフリカの歴史をさまざまな角度から切手や郵便物、絵葉書などで再構成した歴史紀行です。すでにアマゾンでは予約の受け付けも始まりました。実物が出来上がってきましたら、このブログでもご案内いたしますので、なにとぞよろしくお願いします。 ★★★ 内藤陽介、カルチャーセンターに登場 ★★★ 10月から、下記の通り、首都圏各地のよみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)で8月の韓国取材で仕入れたネタを交えながら、一般向けの教養講座を担当します。詳細につきましては、青色太字をクリックしてご覧いただけると幸いです。皆様のご参加を心よりお待ちしております。(掲載は開催日順) T-moneyで歩くソウル歴史散歩 ・よみうりカルチャー荻窪 10月30日、12月4日、1月29日、2月5日、3月5日 13:00-14:30 * 10月2日のお試し講座は無事終了いたしました。ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。 ・よみうりカルチャー北千住 10月17日、12月19日、1月16日、2月20日、3月20日 13:00-15:00 ★★★★ 電子書籍で復活! ★★★★ 歴史の舞台裏で飛び交った切手たち そこから浮かび上がる、もうひとつの昭和戦史 『切手と戦争:もうひとつの昭和戦史』 新潮社・税込630円より好評配信中! 出版元特設HPはこちらをクリック ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★ 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。 |
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