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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 トリニダード・トバゴ独立50年
2012-08-31 Fri 14:12
 カリブ海の小国、トリニダード・トバゴが1962年8月31日に独立してから、きょうでちょうど50年です。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

       トリニダード・トバゴ(1913)

 これは、1913年に発行された“トリニダード・トバゴ”名の最初の切手のうち、1ペニー切手です。

 トリニダード・トバゴは、カリブ海の小アンティル諸島南部に位置するトリニダード島とトバゴ島の2島と属領からなる国で、1498年、コロンブスによって“発見”されました。このため、当初はスペインの植民地でしたが、その後、英蘭仏などの支配を経て、最終的に、1797年にトリニダード島が、1802年にトバゴ島が英領となりました。トリニダード・トバゴとして行政的に統合されたのは、1888年のことです。

 郵便に関しては、1797年に英領になる以前のスペイン領時代のトリニダード島は、王室財産として民間人の立ち入りがほとんどなかったため、定期的な郵便物の発着は行われておらす、英領時代の1800年に最大都市のポート・オブ・スペインに最初の郵便局が設置され、トリニダード島と島外との郵便を取り扱うようになりました。ただし、同局の印が押された郵便物は1806年以降のものしか報告されていません。

 トリニダード島としての最初の切手は1847年に発行されました。これは、島内のポート・オブ・スペインとサン・フェルナンドを結ぶ民間の蒸気船“レディー・マックロード”で郵便を運ぶためのもので、図案となった蒸気船にちなみ、“レディー・マックロード”の愛称で親しまれています。なお、植民地政府による島内の近代郵便事業は1851年8月14日のことで、これに合わせて、パーキンス&ベーコン社の切手が発行されました。

 一方、トバゴ島には、1841年、スカーボローに英国局が設置されました。当初は切手は導入されず、料金収納インが押されるのみでしたが、1858年から英本国の切手が持ち込まれて使用されるようになり、1879年には印紙兼用で最初の切手が発行されました。

 1888年に両島が統合された後も、1896年までは、従来通り、各島で別々の切手が発行されていましたが、その後は、トバゴ島でもトリニダード名の切手が使用されることになります。トリニダード名の切手発行は1909年まで継続され、今回ご紹介のトリニダード・トバゴ名の切手が発行されるようになったのは、1913年のことでした。

 さて、トリニダード・トバゴには、いまから20年近く前、ある調査の仕事でポート・オブ・スペインに1泊したことがあるのですが、その時の印象として記憶に残っているのは、

 ① 事前にビザを取るのに難儀したこと(そもそも、日本にはトリニダード・トバゴ大使館がないので、出発直前になってビザを取らなくてはいけないことが判明した時はあせりました)
 ② マイアミからプエルトリコのサンファン経由でプロペラ機に毛の生えたような飛行機で夕方現地入りしたこと 
 ③ 到着後、空港から市内への道がやけに暗かったこと
 ④ 街中をレゲエのオジサンが当たり前のように鼻歌を歌いながら歩いていたこと
 ⑤ 街中が独特の臭いで溢れていたこと
 ⑥ 食事時、うっかりベジタリアンの店に入ってしまい(インド系の移民が多いので、ベジタリアンの店が少なからずある)、現地の美味しい料理(きっと何かあったはずですが…)を食べ損なったこと
 ⑦ マイアミへ戻る途中、サンファンでイミグレーションの係官が、僕のパスポートを見て意味不明の日本語もどきを話しかけてきたので、“Sorry, I cannot understand what you mean.(すみません。おっしゃることが良くわからないのですが)”と正直にいったところ、逆ギレされて“You aren't Japanese, are you?(お前、日本人じゃないだろう)”と言いがかりをつけられたこと、

 などでしょうか。

 現地では、街中いろいろなところを歩き回ったはずなのですが、残念ながら、街並みについての印象はあまり記憶に残っていません。いずれ、トリニダード・トバゴの再訪を含め、カリブの小国は一回りしてきたいと思っています。まぁ、カリブ諸国といえば、“いかがわしい切手”を濫発する国が少なからずあるだけでなく(一応、トリニダード・トバゴの切手はまともな部類ですが)、タックス・ヘイブンの国なんかもいろいろありますからねぇ。各国の大使館には嫌な顔をされるでしょうが“カリブのいかがわしい国々”なんて企画で1冊作れると面白いんだけどなぁ…。

 なお、“いかがわしい切手”については、拙著『事情のある国の切手ほど面白い』でも、そのからくりについて概要をまとめておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。

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この記事のコメント
#2218
“レディー・マックロード”の切手は、全日展で吉田さんのコレクションを見ただけで満足するしかないのですが、美的観点で最も好きな切手の1つです。また、歌手のMINMIがトリニダード・トバコで歌ったライブ映像を見て、国民が音楽が好きな様子がとても良く伝わってきました。

なので、トリニダード・トバコについては、勝手に良いイメージを持っていました。でも、暗くて独特の匂いがするということは、実際は貧しい小さな町ということなのでしょうか。

カリブ諸国の書籍は、楽しみです。書籍になったら、真っ先に買いたいです。
2012-09-01 Sat 21:33 | URL | YOU #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
・YOU様
 レディ・マックロードの切手、いいですよね。僕も好きです。ちょっと手は出ないですけど。

 ちなみに、空港から町の中心部までは、途中、山中と畑が続く中を通っていくので、暗かったのですが、そういうところでは別に変な臭いはしませんでした。臭いがきつかったのは街中で、ジャカルタの旧市街みたいな感じでした。

 まぁ、なにぶんにも20年近く前の話なので、いまではだいぶ変わっているかもしれません。

 カリブの本、実現はいつのことやらという感じですが、気長にお待ちください。
2012-09-02 Sun 23:44 | URL |  内藤陽介 #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
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