2012-06-22 Fri 01:49
『キュリオマガジン』2012年7月号が出来上がりました。僕の連載「郵便学者の世界漫郵記 インド西海岸篇」は、前回に引き続き、コーチン(コーチ)の4回目です。その記事で使ったモノの中から、こんなモノをもってきてみました。(以下、画像はクリックで拡大されます)
![]() ![]() 左の切手は、ジャイナ教の開祖とされるマハーヴィーラの2600年祭を記念して2001年にインドで発行された切手で、法輪のある手と上に3つの点がある卍を組み合わせたジャイナ教のシンボルマークが大きく取り上げられています。右側の写真はコーチンのジャイナ教寺院の入口で、門扉の両脇には、切手と同じシンボルマークが掲げられています。 ジャイナ教は、釈迦と同時代(紀元前5世紀頃)の思想家、マハーヴィーラが宣教を始めた教えで、バラモンによる祭祀よりも、個人の修行による解脱を重視することや、あらゆる生き物に対する不殺生(アヒンサー)を重視することなどは仏教とも共通です。ただし、ジャイナ教のアヒンサーは仏教に比べてはるかに徹底しており、熱心な信者のなかには、空気中の小さな生物を殺さぬように白い布で口を覆うこともあります。さらに、畑を耕すと虫などを殺すことがあるとして農業を忌避する人もあり、その結果として、在家のジャイナ教徒には商人が多くなっています。 コーチンのジャイナ教寺院は1904年に建立され、第19代ティールタンカラ(マハーヴィーラに先立つ23人の祖師のひとり)であるマッリに献じられました。 さて、ジャイナ教のシンボルマークのうち、法輪のある手は、アヒンサーの誓いを示すシンボルで、本来、法輪の中にはアヒンサーの文字が入っているのですが、目の前の門扉の装飾では省略されていました。なお、法輪は徹底的な追求と非暴力を通じて再生の循環を停止しようという決心を表すのだそうです。 一方、卍(スヴァスティカ)は、インドではジャイナ教に限らず仏教やヒンドゥーでも広く用いられている吉祥の印で、その上の3つの点は、ジャイナ教の宗教的な生活の心得とされる“三宝(①正しい信仰、②正しい知識、③正しい行い)”を意味しています。もっとも、コーチンのジャイナ教寺院の門扉では、点が一つ取れてしまって“二宝”になっていたのは、ご愛嬌ですが…。 さて、今回の連載記事では、ジャイナ教関係の切手などもご紹介しながら、コーチンのジャイナ教寺院を訪ねた時のことをまとめてみました。機会がありましたら、ぜひ、ご覧いただけると幸いです。 ★★★ 内藤陽介・韓国進出! ★★★ 『韓国現代史』の韓国語訳、出ました ![]() 우표로 그려낸 한국현대사 (切手で描き出した韓国現代史) ハヌル出版より好評発売中! 米国と20世紀を問い直す意欲作 ![]() 우표,역사를 부치다 (切手、歴史を送る) 延恩文庫より好評発売中! *どちらも書名をクリックすると出版元の特設ページに飛びます。なお、『우표,역사를 부치다(切手、歴史を送る)』につきましては、7月以降、このブログでも刊行のご挨拶を申し上げる予定です。 ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★ 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。 |
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