2011-12-29 Thu 23:18
ご報告が遅くなりましたが、『キュリオマガジン』2012年1月号が出来上がりました。僕の連載「郵便学者の世界漫郵記」は、今回から、インド西海岸篇に突入です。今回はその初回ということで、ヴァスコ・ダ・ガマが到着したカッパド(カリカット近郊)を取り上げましたが、その記事の中から、こんなモノをもってきてみました。(以下、画像はクリックで拡大されます)
![]() これは、1898年にポルトガルとその植民地でオムニバス形式で発行された“ヴァスコ・ダ・ガマのインド航海400年”の記念切手のうち、船団のカリカット到着を描いた5レイス切手の試刷シートです。“ヴァスコ・ダ・ガマのインド航海400年”の記念切手は、ポルトガルとその植民地がそれぞれ共通の図案で発行しましたが、今回ご紹介のマテリアルは、切手制作の過程で本国と各植民地の切手を1シートにまとめたもので(それぞれ国名表示の部分が異なっています)、実際に発行された切手とは刷色も異なっています。インド西海岸篇の初回ということもあるので、ちょっと気合の入ったマテリアルとして今秋のオークションで入手しました。 さて、中学や高校の教科書では「1498年 ヴァスコ・ダ・ガマがカリカットに到達」という記述がゴシックの太文字で印刷されています。たしかに、この年、ガマ(本来はダ・ガマと書くべきでしょうが、日本語ではガマと書かれるケースの方が多いようなので、慣例に従いました)はカリカットに上陸しているのですが、厳密に言うと、彼が最初にインドに到達した場所は、現在のカリカット市内ではなく、郊外のカッパドでした。 すなわち、1497年7月8日、ポルトガル王マヌエル1世の命を受けてリスボンを出航したガマひきいる4隻の船団は、同年11月22日、喜望峰を通過し、モザンビーク島に到達。当時のインド洋貿易はアラブ系が牛耳っていたこともあり、ガマはここで水先案内人としてイブン・マージドを雇い入れてインドを目指しました。 一行がインド南西のマラバル海岸に接近し、地元の船乗りたちの公開の目標となっていたデリ山を目にしたのは1498年5月17日。ここから南下すれば目的地のカリカットは至近距離にありました。 ところが、水先案内が誘導を間違い、5月20日、船はカリカットよりも北方のカプア(カッパド)で停泊したため、ここが船団のインド到達の地となりました。ちなみに、一行がカリカット沖に移動するのは、22日のことです。 今回の連載では、今後、インド西海岸のカリカット(コーリコード)、コーチン(コーチ)、ゴアの風物と関連のマテリアルを順次ご紹介していく予定です。最終的には、今年の『ハバロフスク』同様、連載の記事に大幅加筆して“切手紀行シリーズ”の1冊としてまとめることを目標としておりますので、よろしくお付き合いいただけると幸いです。 ★★★ 内藤陽介の最新刊 ★★★ ![]() 年賀状の戦後史 角川oneテーマ21(税込760円) 日本人は「年賀状」に何を託してきたのか? 「年賀状」から見える新しい戦後史! ★ TBSラジオ・ニュース番組森本毅郎・スタンバイ(11月17日放送)、11月27日付『東京新聞』読書欄、『週刊文春』12月1日号、12月1日付『全国書店新聞』、『週刊東洋経済』12月3日号、12月6日付『愛媛新聞』地軸、同『秋田魁新報』北斗星、TBSラジオ鈴木おさむ 考えるラジオ(12月10日放送)、12月11日付『京都新聞』読書欄、同『山梨日日新聞』みるじゃん、12月14日付『日本経済新聞』夕刊読書欄、同サイゾー、12月15日付『徳島新聞』鳴潮、エフエム京都・α-Morning Kyoto(12月15日放送)、12月16日付『岐阜新聞』分水嶺、同『京都新聞』凡語、12月18日付『宮崎日日新聞』読書欄、同『信濃毎日新聞』読書欄、12月19日付『山陽新聞』滴一滴、同『日本農業新聞』あぜ道書店、[書評]のメルマガ12月20日号、『サンデー毎日』12月25日号、12月29日付エキレピ!、『郵趣』1月号で紹介されました。 amazon、bk1、e-hon、HMV、livedoor BOOKS、紀伊國屋書店BookWeb、 セブンネットショッピング、楽天ブックスなどで好評発売中! ★★★ 好評既刊より ★★★ ![]() ハバロフスク(切手紀行シリーズ?) 彩流社(本体2800円+税) 空路2時間の知られざる欧州 大河アムール、煉瓦造りの街並み、金色に輝く教会の屋根… 夏と冬で全く異なるハバロフスクの魅力を網羅した歴史紀行 シベリア鉄道小旅行体験や近郊の金正日の生地探訪も加え、充実の内容! amazon、bk1、e-hon、HMV、livedoorBOOKS、紀伊國屋書店BookWeb、セブンネットショッピング、楽天ブックスなどで好評発売中! |
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