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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 チワン族自治区でデモ
2011-12-27 Tue 23:53
 香港の人権団体、中国人権民主化運動ニュースセンターによると、1979年の中越戦争に参加した中国広西チワン族自治区の退役軍人約1000人が、きのう(26日)、中国当局に補償金の支払いを求めて同自治区桂林の街頭をデモ行進したそうです。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

        
        広西チワン自治区

 これは、1978年12月11日に中国が発行した広西チワン族自治区20周年の記念切手の1枚で、自治区成立20年を祝う自治区の人民が描かれています。

 チワン族は、中国南部の広西チワン族自治区中西部や雲南省南西部、広東省東部、貴州省南部、湖南省南部などの山間部とベトナム北部を中心に居住している民族です。中国国内の人口は1800万人で、中国の“少数民族”としては最大勢力となっています。秦・漢の時代から中国中央政府の統制下に置かれ、1949年12月11日、中華人民共和国によって“解放”されました。現在の広西チワン自治区が発足したのは、1958年3月5日のことでした。

 さて、今回ご紹介の切手の発行日は、自治区発足記念日の3月5日ではなく、中共による“解放”の記念日にあたる12月11日です。ちなみに、切手発行直後の12月18日から12月22日にかけて、北京では中国共産党第11期中央委員会第3回全体会議(第11期3中全会)が開催されましたが、この会議により、文化大革命の清算と改革開放路線の推進が決定され、毛沢東の後継指名を受けた華国鋒が失脚し、小平が権力を完全に掌握しました。

 すでに、前年の1977年7月に開催された第10期3中全会において、小平は、党中央政治局常務委員、党中央委員会副主席、党中央軍事委員会副主席兼中国人民解放軍総参謀長、国務院常務副総理に復帰しており、実権掌握は時間の問題とみられていましたが、この切手が制作されていた時点では、華国鋒が掲げていた「毛主席の決定した事は支持し、毛主席の指示は変えない」とする“二つのすべて”路線は公式には放棄されていませんでした。したがって、毛沢東時代の典型的な表現スタイルである“労農兵”が、この切手の人民の描き方にも採用されていてよさそうなものですが、切手には、労(工員)と民族衣装の人民は見られるのですが、兵士の姿は見られません。あるいは、すでに翌年の中越紛争を見越してチワン族の兵士たちは前線に動員されていて“慶祝”どころではなかったということなんでしょう。それだけ中共に尽くしたのに、ろくに保証金ももらえないというのであれば、そりゃ、チワン族の退役軍人たちが起こるのも無理はありませんな。


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