2011-12-06 Tue 16:08
昨年6月の総選挙以来、フランデレンとワロンの対立により連立政権樹立の交渉が難航していたベルギーで、きのう(5日)、フランス語圏社会党のディ・ルポ党首が国王アルベール2世に自身を首相とする6党連立による組閣を報告。540日ぶりに正式な政権が発足し、政治空白が解消されました。というわけで、きょうはこんなものを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、第一次大戦中、ベルギー亡命政府のあったルアーヴルで使用されたベルギー切手のオンピースです。 第一次大戦が勃発した際、ベルギーは中立を宣言していましたが、1914年8月2日、ドイツ軍はフランス攻撃のためにベルギーに対して通行権を要求。これを、ベルギー国王アルベール1世が拒絶すると、8月4日、ドイツ軍はベルギーに侵攻しました。 その後、ベルギーの国土の大半はドイツ軍によって占領され、国王アルベール1世率いるベルギー軍はイギリス遠征軍(BEF)の支援を受けてアントワープを脱出。政府をフランスのルアーブルに移し、連合側にとって僅かに残ったベルギー領であるイープルを拠点に、ドイツ軍と戦うことになりました。 さて、亡命政権は、自らの存続を内外に示すため、亡命先のルアーヴルにも切手を持ち込み、郵便を行いました。その際、亡命政府ならびにベルギー軍の郵便物には、フランスのモノと区別するため、局名表示が“LE HAVRE (SPECIAL)”および“SEINE INFRE”(セーヌ下流地区)となった消印が押されています。 今回ご紹介のモノはその一例で、切手は1912年に発行されたアルベール1世像の10サンチーム、消印の日附は1914年11月22日です。まぁ、亡命政権も暫定政権の一種といえないこともないので、1年半ぶりにベルギーの暫定政権解消というタイミングに合わせて取り上げてみました。 なお、ベルギーとその切手については、拙著『事情のある国の切手ほど面白い』でも1章を設けてご紹介しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。 ★★★ ラジオ出演のご案内 ★★★ ・12月10日(土) 鈴木おさむ 考えるラジオ TBSラジオ(954kHz )で19:00から放送の番組に『年賀状の戦後史』の著者として内藤が生放送出演します。ぜひ聞いてやってください。なお、放送番組の常として、諸般の事情により、急遽、内容が変更となる可能性もありますが、その場合はあしからずご容赦ください。 ★★★ 内藤陽介の最新刊 ★★★ 年賀状の戦後史 角川oneテーマ21(税込760円) 日本人は「年賀状」に何を託してきたのか? 「年賀状」から見える新しい戦後史! ★ TBSラジオ・ニュース番組森本毅郎・スタンバイ(11月17日放送)、11月27日付『東京新聞』読書欄、『週刊文春』12月1日号、『週刊東洋経済』12月3日号、12月6日付『愛媛新聞』地軸、同『秋田魁新報』北斗星で紹介されました。 amazon、bk1、e-hon、HMV、livedoor BOOKS、紀伊國屋書店BookWeb、 セブンネットショッピング、楽天ブックスなどで好評発売中! ★★★ 好評既刊より ★★★ ハバロフスク(切手紀行シリーズ④) 彩流社(本体2800円+税) 空路2時間の知られざる欧州 大河アムール、煉瓦造りの街並み、金色に輝く教会の屋根… 夏と冬で全く異なるハバロフスクの魅力を網羅した歴史紀行 シベリア鉄道小旅行体験や近郊の金正日の生地探訪も加え、充実の内容! amazon、bk1、e-hon、HMV、livedoorBOOKS、紀伊國屋書店BookWeb、セブンネットショッピング、楽天ブックスなどで好評発売中! |
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