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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 カタカリと歌舞伎
2011-02-16 Wed 23:56
 きのう(15日)はコーチンの各所をまわり、最後は日印交流年の切手にも取り上げられた伝統舞踊のカタカリを見て締めくくりました。というわけで、この切手です。(画像はクリックで拡大されます)

        インド=日本国交50年

 これは、2002年4月26日にインドで発行された対日外交関係50周年の記念切手で、インドを代表する古典舞踊のカタカリと日本の歌舞伎が取り上げられています。ちなみに、この年は日本と南アジア諸国との外交関係の節目の年(インド、パキスタン、スリランカとの国交樹立50周年にしてバングラデシュとの国交樹立30周年)にあたっていたため、日本側では、これらを一括して「21世紀における日本と南アジア」と題する4種セットの切手を発行。このうち、インド関係のものとしては、タージ・マハルが取り上げられました。

 さて、インドの切手に取り上げられたカタカリはインド最南端ケララ州の舞踏劇で、世界最古の演劇の一つとされる呪術劇のクリヤッタムやクリシュナッタム(ヒンドゥーの神、クリシュナを題材にした舞踏劇)、カラリパヤットという武術の要素が加わり、西暦1500年頃に現在のようなスタイルのものとして確立されました。

 劇のストーリーはラーマやクリシュナの神話に基づいており、本来は夜通し演じられるものですが、現在では2時間程度に圧縮されたダイジェスト版も演じられています。また、台詞やナレーションなどの言葉に相当する部分は歌で表現されますが、伴奏は打楽器のみです。

 舞踊劇としてのカタカリでは、ムドラー(指や手の動き)で物語を表現し、顔の筋肉を動かしてナヴァラサ(9種類の感情)を表現します。これに、ストーリーとは直接関係なく、純粋にステップや肉体の動きを見せるためのヌリッタ(“純粋舞踊”とも訳される)が組み合わされることで、物語が表現されています。

 しかしながら、カタカリの最大の特徴といえば、なんといっても独特のメイクと衣装でしょう。このメイクには、いくつかの基本的な型があるのですが、そのうち、切手に取り上げられているのはバッチャと呼ばれるもの。顔の色は高貴さを示す緑色で、目と眉毛は黒く、口は赤く塗られており、物語の主人公(高貴な心の英雄)を示すスタイルです。顔の周囲につけられている白い紙は、頬を強調するための頬型です。

 カタカリはインドを代表する古典舞踊の一つですが、日本の歌舞伎、中国の京劇と並んで世界三大化粧劇の一つにも数えられています。カタカリと歌舞伎を並べた切手を目にしたインド人が、歌舞伎という単語は知らなくても、日本にもカタカリと同じような古典芸能があることを認識し、日本に対する親近感を感じてくれたら良いですね。


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