2010-07-19 Mon 22:09
きょうは海の日です。というわけで、ストレートにこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
![]() ![]() これは、1998年5月22日にマカオで発行された“海洋”の切手とその小型シートです。小型シートの右上には、海洋神話・生態・資源・歴程の文字が入っており、海と人間の多様な関わり合いを表現しようというのが切手の趣旨のようです。なお、切手の図案をチェックしてみると、人魚が神話を、イルカが生態を、海底油田の油井が資源を、帆船が歴程(歴史)を、それぞれ意味しているものと思われます。なお、小型シートは切手に取り上げられた人魚やイルカなどをコラージュしなおしたものですが、油井は取り上げられていません。 ところで、マカオは1999年までポルトガル領でしたので、現在でもポルトガル語を自由に操れるビジネスマンは少なくありません。こうした特性を生かして、北京政府はマカオをポルトガル語諸国共同体との窓口として活用しようとしています。 というのも、リスボンに本部を置くポルトガル語諸国共同体は、ポルトガルとブラジル以下の旧ポルトガル領諸国で構成されていますが、加盟国には地下資源の豊富な国が少なくないからです。特に、アンゴラや赤道ギニアの石油、モザンビークの天然ガスなどに関しては、中国は他国に先駆けての権益確保を狙っていますが、その際、ポルトガル語という共通言語を持つマカオの存在は、中国にとって有効な切り札となるわけです。 昨年末にマカオ特別行政区の行政長官に就任した崔世安は、最近、ポルトガルを訪問し、1999年の中国返還以来廃止されていたマカオ=リスボン直行便の再開を要請しました。純粋な収益という点では、マカオ=リスボン線はまず黒字は見込めないのですが、それにもかかわらず、崔が直行便の再開を要請した背景には、北京の意向を汲んで、マカオが“世界のポルトガル語圏と中国のゲートウェーをめざす”との方針を打ち出しているという事情があります。 この切手が発行されたのは、マカオがまだポルトガル領だった1998年のことでした。“資源”の文字の入った小型シートから、単片には入っている油井が外されているのは、当時のポルトガル当局者が、いずれ、マカオがポルトガル語を媒介に中国の資源戦略の尖兵となることを予想していたからじゃないかと勘繰りたくもなりますな。 ★★★ 内藤陽介の最新刊 ★★★ 総項目数552 総ページ数2256 戦後記念切手の“読む事典”(全7巻) ついに完結! ![]() 2001年のシリーズ第1巻『濫造濫発の時代』から9年。<解説・戦後記念切手>の最終巻となる第7巻は、1985年の「放送大学開学」から1988年の「世界人権宣言40周年」まで、NTT発足や国鉄の分割民営化、青函トンネルならびに瀬戸大橋の開通など、昭和末期の重大な出来事にまつわる記念切手を含め、昭和最後の4年間の全記念・特殊切手を詳細に解説。さらに、巻末には、シリーズ全7巻で掲載の全記念特殊切手の発行データも採録。 全国書店・インターネット書店(amazon、bk1、JBOOK、livedoor BOOKS、7&Y、紀伊国屋書店BookWeb、ゲオEショップ、楽天ブックスなど)で好評発売中! |
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