2010-07-01 Thu 17:03
きょう(1日)付で、中国が国防動員法を施行しました。というわけで、この1枚です。
これは、1964年3月8日に中国が発行した“人民公社の婦人社員”の切手のうち、女性民兵を取り上げた1枚です。 自警団の類から発生した民兵は、基本的には、地域共同体に根ざす非専業戦闘員の集団で、戦時には短期間の訓練を受けて動員されますが、正規の国軍とは区別されるのが一般的です。かつての中国の人民公社も地域共同体の一種ですから、その構成員が軍事訓練を受けて民兵の役割を果たすということは当然にありうる話です。なお、中国人民解放軍は、建前としては中国共産党の軍事部門(党の軍隊)であって、中華人民共和国の国軍ではないのですが、まぁ、実質的には中国軍という扱いですな。 さて、今回、中国が施行した国防動員法ですが、同法によれば、中国政府は、有事の際、金融機関、陸・海・空の交通輸送手段、港湾施設、報道やインターネット、郵便、建設、水利、民生用核関連施設、医療、食糧、貿易など各部門を管制下におき、これら物的・人的資源を徴用できることになっています。また、中国の民間企業は、戦略物資の準備と徴用に対する義務と責任があるとされており、外資・合弁企業についても「国防動員の生産を担うことができる」ことになっています。 言いかえると、中国政府がいったん“有事”と判断すると、全世界の中国人の全財産没収のみならず、中国にいる外資系企業ならびに個人の全財産没収が可能となるほか、中国人全員には兵役を課され、海外在住の中国人はその場で兵士として活動することが求められるということになります。 まぁ、中国が自国の有事に際して、自国の領内にいる自国民を動員する体制を作ろうとするのは、国家として当然の権利ではあるのですが、在留外国人・外国企業の資産を勝手に接収したり、ましてや、他国に在住の中国人に軍事行動を起こさせるなど、国際常識に照らして絶対に許容されることではありません。ただでさえ、チベットやウイグル、南沙諸島など、周辺地域への侵略行為が目に余る中共政権ですが、今回の国防動員法によって、その非道ぶりに拍車がかかるのは必至で、実に憂慮すべき事態です。 たとえば、中国が南西諸島の日本領海を侵犯し、そのことについて日本政府が抗議したことを、彼らが“有事”と認定したとしましょう。その場合、彼らは在中国の日本企業や日本人をわが国に対する攻撃に動員し(拒否すれば逮捕されるんでしょうなぁ)、在日中国人に対してはテロ活動を行うよう煽動するといった事態もありえます。北京や上海で働いている日本人OLが、この切手のように、“中国の民兵”としてわが国に銃を向けることを強要されるかもしれないのです。また、お気楽な観光客として来日したはずの中国人が、国家の命により、突如、日本国内で反日活動に従事するようになるということも十分にあり得ます。 現在のわが国は中共政権の直接的な脅威にさらされているわけですから、本来であれば、この問題が国民的な関心事になっていてもおかしくありませんし、その結果として、安全保障問題が参院選の重要な争点になっても良いはずです。ところが、ワールドカップと大相撲の賭博問題などにかき消されて、国防動員法の問題は、大手メディアではほとんど取り上げられていません。挙句の果てに、きょうから、中国から日本に来る旅行客を増やすため、中国人の個人観光ビザを緩和するというのですから、開いた口がふさがりません。 「教え子を再び戦場に送るな!」と金切り声をあげながら、違法な政治献金を繰り返してきた日教組のセンセイたちも、そろそろ、教え子が中共の手先にさせられて戦場に送られるかもしれないという可能性について、真剣に考えてもらわないと困りますな。 ★★★ 内藤陽介の最新刊 ★★★ 総項目数552 総ページ数2256 戦後記念切手の“読む事典”(全7巻) ついに完結! 『昭和終焉の時代』 日本郵趣出版 2700円(税込) 2001年のシリーズ第1巻『濫造濫発の時代』から9年。<解説・戦後記念切手>の最終巻となる第7巻は、1985年の「放送大学開学」から1988年の「世界人権宣言40周年」まで、NTT発足や国鉄の分割民営化、青函トンネルならびに瀬戸大橋の開通など、昭和末期の重大な出来事にまつわる記念切手を含め、昭和最後の4年間の全記念・特殊切手を詳細に解説。さらに、巻末には、シリーズ全7巻で掲載の全記念特殊切手の発行データも採録。 全国書店・インターネット書店(amazon、bk1、JBOOK、livedoor BOOKS、7&Y、紀伊国屋書店BookWeb、ゲオEショップ、楽天ブックスなど)で好評発売中! * 2010年6月に頂戴した拍手の数の多かった記事のベスト3は以下のとおりです。ありがとうございました。 1位(10票):お遍路総理 2位(7票):シベリア特措法 3位(4票):日米安保50年 |
#1724 ひたすら中国に媚を売る売国民主党
「挙句の果てに、きょうから、中国から日本に来る旅行客を増やすため、中国人の個人観光ビザを緩和するというのですから、開いた口がふさがりません。」全く仰る通りです。民主党は中国の脅威を叫ぶどころか、中国の歓心を買うためにひたすら中国に媚を売る文字通りの売国政党です。日本には昔から「武士は食わねど高楊枝」の美風がありましたが、売国民主党はそんな美風は持ち合わせません。今回の観光ビザの緩和は中国人に大いに日本で観光や買い物をして貰ってカネを落として貰おうというさもしい魂胆がアリアリです。いくら不況とはいえ、日本は中国人のカネを当てにしなければならないほど落ちぶれてはいません。それを自ら進んで中国に媚を売って物乞いをするような民主党の売国政策は断じて許せません。このまま民主党の政権が続けば、そう遠くない内に尖閣諸島もガス田も中国の言われるままに差し出されてしまうでしょう。気がついたら人も国土も中国に蹂躙されていたという暗黒時代は間近に迫っています。
#1725 法治国家でない国の法律
法治国家でない国の法律はそうそう意味があるもんでもありませんし、そういうものだとかまえておくしかありませんねえ。
#1728 コメントありがとうございます
皆様、コメントありがとうございます。
・アルファ様 あと数十年後、四書五経の漢文素読を孫に強制的にやらせる時代が来るというのなら歓迎ですが、毛沢東語録や中共の綱領を強制的に教え込まれる世の中というのは、ホント、ぞっとしますね。 ・madi様 たしかに、かの国が法治国家ではないと言い出せば、身も蓋もない話ですな。 |
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