2010-03-18 Thu 15:05
東芝はきのう(17日)、家庭で広く使われてきた白熱電球の製造を打ち切りました。というわけで、きょうはこの1枚です。
これは、1929年にアメリカで発行されたエジソンの白熱電球50周年の記念切手です。図案はもちろん、エジソンの電球です。 白熱電球というとエジソンの発明というイメージが強いのですが、実際の発明者はイギリスの物理学者、ジョゼフ・スワンでした。 減圧したガラス球の中に炭化した紙製のフィラメントを入れて発光させる電球を考案したスワンは、1860年までに試作品を完成させ、不完全真空・炭素フィラメント・白熱電球の特許をイギリスで取得します。その後、1875年には、スワンは、より優れた真空引き技術と炭素フィラメント(木綿糸を苛性ソーダで処理したのち炭化させたもの)を使った電球を開発し、1878年12月には40時間の寿命を達成します。 このことを知ったエジソンは、翌1879年、類似の電球を製造。折からの東洋神秘ブームを利用し、「最初にフィラメントの原料として使われたのは、たまたま部屋にあった扇の竹の骨であった」というエピソードで発表し(実際には、各種の素材を試したうえで京都八幡男山の竹が選ばれた)、注目を集めました。この竹を使ったフィラメントにより、電球の寿命はそれまでの10時間程度から1200時間以上にまで延び、翌1880年、ゼネラル・エレクトリック (GE) は直流配電による電灯事業を展開しました。その意味では、エジソンは電球の発明者ではなく、電灯の実用化に成功した人物と評価すべきでしょう。 ちなみに、今回製造中止となった東芝の白熱電球は、白熱舎(東芝の前身)創業者の藤岡市助がエジソンに教えを請い、1890年に日本で製造を開始したものだそうです。 ★★★ 内藤陽介の最新刊 ★★★ 総項目数552 総ページ数2256 戦後記念切手の“読む事典”(全7巻) ついに完結! 『昭和終焉の時代』 日本郵趣出版 2700円(税込) 2001年のシリーズ第1巻『濫造濫発の時代』から9年。<解説・戦後記念切手>の最終巻となる第7巻は、1985年の「放送大学開学」から1988年の「世界人権宣言40周年年」まで、NTT発足や国鉄の分割民営化、青函トンネルならびに瀬戸大橋の開通など、昭和末期の重大な出来事にまつわる記念切手を含め、昭和最後の4年間の全記念・特殊切手を詳細に解説。さらに、巻末には、シリーズ全7巻で掲載の全記念特殊切手の発行データも採録。 全国書店・インターネット書店(amazon、bk1、JBOOK、livedoor BOOKS、7&Y、紀伊国屋書店BookWeb、ゲオEショップ、楽天ブックスなど)で好評発売中! |
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