2009-03-31 Tue 19:09
きょうから東京・上野の東京国立博物館で奈良・興福寺の創建1300年を記念した国宝・阿修羅展がスタートしました。となれば、やはりこの1枚でしょう。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1968年2月1日、国宝シリーズ第2集の1枚として発行された「興福寺阿修羅」の切手です。 阿修羅の元になったアスラは、インド神話では、もともとは正義をつかさどる神でしたが、インドラ(帝釈天)に娘を奪われたことに怒り、インドラに戦いを挑みます。しかし、アスラの軍はインドラの軍になかなか勝てません。ある時、アスラの軍が優勢となり、インドラ軍が後退していたところへ蟻の行列にさしかかると、インドラは蟻を踏み殺さないようにと軍を止めました。 このことをもって、アスラは正義ではあるものの、戦いを挑むうちに赦す心を失ったとされ、天界を追われ人間界と餓鬼界の間の修羅界の主となったとされています。まぁ、何事も引き際が肝心ということなのでしょうが、もとはといえば、そもそもの原因はインドラにあったわけで、アスラが気の毒と思えなくもありません。 アスラは仏教に取り込まれると戦闘神として、仏法の守護者として八部衆のひとつに位置付けられるようになりました。切手に取り上げられた興福寺の像は、もともとは734年に建立された興福寺西金堂に安置されていました。ちなみに、西金堂は、光明皇后が母・橘三千代の1周忌に際して釈迦三尊を安置する堂として創建した建物ですが、江戸時代に火災で焼失しています。 さて、4月中旬に刊行予定の拙著『切手が伝える仏像:意匠と歴史』では、今回ご紹介の興福寺阿修羅をはじめ、さまざまな仏像切手300点以上をカラーでご紹介しております。すでに本文の原稿は完成しており、編集作業が追い込みの段階ですが、正式な発行日などが決まりましたら、このブログでもご案内いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。 ★★★ 内藤陽介の最新刊 ★★★ 誰もが知ってる“お年玉”切手の誰も知らない人間ドラマ 好評発売中! 『年賀切手』 日本郵趣出版 本体定価 2500円(税込) 年賀状の末等賞品、年賀お年玉小型シートは、誰もが一度は手に取ったことがある切手。郷土玩具でおなじみの図案を見れば、切手が発行された年の出来事が懐かしく思い出される。今年は戦後の年賀切手発行60年。還暦を迎えた国民的切手をめぐる波乱万丈のモノ語り。戦後記念切手の“読む事典”<解説・戦後記念切手>シリーズの別冊として好評発売中! 1月15日付『夕刊フジ』の「ぴいぷる」欄に『年賀切手』の著者インタビュー(右上の画像:山内和彦さん撮影)が掲載されました。記事はこちらでお読みいただけます。 |
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