2009-03-23 Mon 21:04
きょうは首都圏では風が強くて、成田空港では強風にあおられた貨物飛行機が着陸に失敗して炎上したほか、鉄道も一部で運転見合わせがありました。というわけで、“風”ネタの定番の1枚を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
![]() これは、1962年7月2日に発行された通常90円切手で、俵屋宗達の風神雷神図屏風のうち、風神の部分が取り上げられています。風神の90円切手はその後刷色を変えて2種、計3種が発行されていますが、一番最初に発行されたこの切手が一番できが良いのではないかと思います。 宗達の風神雷神図屏風は17世紀前半の作で、京都の豪商で歌人であった打它公軌が京都妙光寺再興の際に製作を依頼し、その後建仁寺に渡ったといわれています。オリジナルの屏風では、画面の両端ギリギリに配された風神・雷神が画面全体の緊張感をもたらしていますが、切手でもそこのところを意識して、風神の姿は画面ギリギリから下界を見下ろすような位置にトリミングされています。 風をつかさどる神としての風神は、世界各国の神話や民間伝承に普遍的に登場しますが、宗達の絵のようなスタイルの風神は、もともと、インド神話でヴァーユと呼ばれる北西守護神が仏教にとりこまれたものです。なお、仏教における風神(風天)は雷神とともに、千手観音の眷属として、他の二十八部衆とあわせて祀られました。 4月中旬に刊行予定の拙著『切手が伝える仏像:意匠と歴史』は、三次元の仏像に話を絞っていますので今回ご紹介の宗達の絵は登場しないのですが、風神・雷神を表現した彫刻もしっかりと取り上げています。現在は、すでに本文の原稿は完成しており、編集作業が追い込みの段階ですが、正式な発行日などが決まりましたら、このブログでもご案内いたしますので、よろしくお願いいたします。 ★★★ 内藤陽介の最新刊 ★★★ 誰もが知ってる“お年玉”切手の誰も知らない人間ドラマ 好評発売中! ![]() ![]() 年賀状の末等賞品、年賀お年玉小型シートは、誰もが一度は手に取ったことがある切手。郷土玩具でおなじみの図案を見れば、切手が発行された年の出来事が懐かしく思い出される。今年は戦後の年賀切手発行60年。還暦を迎えた国民的切手をめぐる波乱万丈のモノ語り。戦後記念切手の“読む事典”<解説・戦後記念切手>シリーズの別冊として好評発売中! 1月15日付『夕刊フジ』の「ぴいぷる」欄に『年賀切手』の著者インタビュー(右上の画像:山内和彦さん撮影)が掲載されました。記事はこちらでお読みいただけます。 もう一度切手を集めてみたくなったら 雑誌『郵趣』の2008年4月号は、大人になった元切手少年たちのための切手収集再入門の特集号です。発行元の日本郵趣協会にご請求いただければ、在庫がある限り、無料でサンプルをお送りしております。くわしくはこちらをクリックしてください。 |
|
||
管理者だけに閲覧 | ||
|
| 郵便学者・内藤陽介のブログ |
|