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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 チベット暦の新年
2009-02-25 Wed 11:34
 きょう(2月25日)はチベット暦の新年(ロサル)です。というわけで、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

 ソ連・チベット仏

 これは、1969年にソ連が発行した東洋美術の切手のマキシマム・カードで、チベットの菩薩像が取り上げられています。切手には、ロシア語で“チベットの菩薩 7世紀”と記されているものの、具体的な菩薩の名前は記されていませんが、おそらく、六字観音ではないかと思います。

 六字観音というのは、観音菩薩の慈悲をあらわす真言“オーム・マ・ニ・パド・メ・フーム(オーム、宝珠と蓮華よ、幸いなれ)”の六音節を神格化した変化観音で、チベット密教では六道輪廻の衆生を救済するとされています。仏像としては四臂(腕が4本)で宝冠を戴き、頭頂仏として阿弥陀如来がいます。現在見られる像の多くは、合掌し、右上に念珠、左上に蓮華をもつ坐像として表現されることが多いのですが、この像は7世紀と古い時代のモノなので現在とは違った姿になっているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

 さて、今年のロサルに関して、ダライラマ法王日本代表事務所では次のような声明を発表しています。

 2009年 ロサル (チベット暦のお正月)
 ― 中止のお知らせ

 ご存知のように2008年3月以降、チベットの首都ラサをはじめ、全国各地で大勢の方々が犠牲になりました。チベット国内では現在も厳しい弾圧が続いており、日々怯えながら生活をしております。

 チベット国内の悲しい現状を共有し、在日チベット人も、2009年のチベットの新年(2月25日)の行事を中止とさせて頂きましたので、何卒ご了承ください。

 ダライ・ラマ法王日本代表部事務所
 代表:ラクパ・ツォコ
(引用終わり)

 チベットの現状を考えれば、そもそも、今年は新年を祝うような気分になれないというのがチベットの人たちの素朴な感情でしょう。同時に、中国のチベット自治政府が“公休日”に定めているロサルをあえて返上することは、それ自体、暴力によらない抵抗運動の一形態として注目すべきものといえます。

 これに対して、中国共産政府は、チベットが“平穏”であることを強調すべく、例年通り、ロサルの祝賀行事を行うよう、チベットの人々にさまざまな圧力をかけています。じっさい、ラサでは、ロサル返上を呼びかけるキャンペーンに加担したとの嫌疑により、数十人のチベット人が逮捕されており、まさに“祝意の強制”(そういえば、日本でも皇室の慶事にクレームをつける人たちは、こういう表現を好んで使いますが、同じことをやっている中国共産政府に対してはなにもいわないんでしょうか)が押し進められています。

 僕も、チベットの人たちを応援すべく、ささやかながら、きょうはこの仏像切手を見ながら祈りをささげることにしました。


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この記事のコメント
#1401
>>まさに“祝意の強制”
左翼(最近は“自称”リベラル)の人たちに脱帽することがあります。それは「最強のクレーマーのごときしつこさ、厚かましさ」「間違いを絶対認めない意思の強固さ」「都合のいいように変化自在な論理展開(ダブルスタンダード)」。正直すごいと思います。まともな神経の人は参ってしまい、いちいち反論しません。または、反論してもマスコミがちゃんと取り上げませんから、いつの間にか声の大きい方が「正論」にされてしまいます。
日本人は、もはやチベットのように、取り返しがつかなくなるまで気がつかないのでしょうか。
2009-02-26 Thu 09:46 | URL | sanriofever #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
 sanriofever様

 「無理が通れば道理が引っ込む」とは、昔の人もうまいことをいったものです。
2009-03-07 Sat 11:12 | URL | 内藤陽介 #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
#1418 管理人のみ閲覧できます
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2009-04-01 Wed 05:24 | | #[ 内容変更] | ∧top | under∨
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