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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 GM
2008-12-13 Sat 11:28
 経営難に陥っていたアメリカの自動車大手3社(いわゆるビッグ3)救済のための法案は、上院で民主・共和両党の調整がつかず、審議が終了。アメリカ議会が年内に救済法案を可決することは絶望的となりました。これに対して、アメリカ政府は、最大7000億ドルの公的資金を政府が活用できる緊急経済安定化法の適用を含む支援を行う考えを表明したことで、とりあえず、当面の危機は回避されたとみられていますが、危機的な状況はしばらく続きそうです。

 というわけで、今日はビッグ3がらみのネタの中から、こんなモノをもってきました。(画像はクリックで拡大されます) 

 GM切手帳ペーン

 これは、デンマーク1933年シリーズの10オーレ切手の切手帳ペーンで、ビッグ3の筆頭、GM(ゼネラル・モーターズ)インターナショナルの広告がタブに入っています。

 GMは、1908年9月16日にウイリアム・C・デュラントがミシガン州フリントで組織した持株会社がそのルーツです。デュラントは、ビュイック・モーターの社長として同社を全米有数のメーカーに育て上げた人物で、GMの創設後、キャディラック、エルモア、オークランド(後のポンティアック)などを次々に買収して事業を拡大。1920年にはフォードを抜いて世界最大のメーカーとなりました。

 初期のフォードが1つの車種を世界中で生産して大量生産によるコスト削減を実現したのに対して、GMは「どんな予算でも、どんな目的でも」をスローガンとして掲げて複数のブランドを展開。世界各地のニーズに合わせて、多種多様な車種を供給することで事業を拡大しています。このため、南北アメリカ、ヨーロッパ、アジア、オーストラリアなど世界中に生産拠点が設けられました。今回ご紹介の切手帳が発行されたデンマークでは、1923年からGMインターナショナルの名で事業が展開されています。

 現在のGMの苦境は、2000年頃からの世界的なエコ意識の高まりの中で、消費者が燃費の良いサブコンパクトカーやハイブリッドカーにシフトしていたにもかかわらず、小型車部門の整理・縮小を行ったことや、2001年の同時多発テロ事件後に販売量が落ち込んだ際も生産量を落とさなかったため在庫が増加したことなどに端を発しているとされています。また、在庫を処理するために販売店へのインセンティブの引き上げや値引き販売を激化させたことが傷口を広げたほか、過去の従業員の退職年金や医療費負担なども財務を圧迫し続けていました。そうしたところへ、ガソリン価格の高騰、サブプライムローン問題、さらにはリーマン・ショックが追い打ちとなり、売上が大きく落ち込み、2007年度決算で3兆円という途方もない額の赤字になったというわけです。

 ところで、ここまで事態が悪化した背景には、GMの社風も大きく影響しているように思われます。

 すなわち、GM北米乗用車・トラック部門担当副社長だったジョン・Z・デロリアンによれば、GMの経営陣には、外部や内部からの忠告・提言をたとえどんなものであっても拒絶する風潮が強いと述べています。また、ピーター・ドラッカーが、1946年に発表した『会社という概念』(この本は決してGM批判の書ではなく、どちらかというと、GMに対して好意的な内容とされています)の中で「(GMは)戦後期には組織・事業・目標を見直す必要がある」と書いただけで、GMの幹部が激怒したというエピソードもあります。その背後には、「GMは世界一なのだから、批判はもってのほか」という思い込みがあったとのことですが、彼らはそのツケをいま払わされているということなんでしょうか。

 なお、ビッグ3の残りの2社のうち、フォードに関しては以前の記事でも取り上げたことがあります。次にビッグ3のことを取り上げるときには、クライスラーについても何か書かないといかんでしょうな。


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