2008-10-27 Mon 14:09
1858年10月27日にセオドア・ルーズベルトが生まれてから、ちょうど150年になります。というわけで、今日はストレートにこの切手をもってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1922年にアメリカで発行された5セントの通常切手で、セオドア・ルーズベルトの肖像が取り上げられています。 ルーズベルトはニューヨーク市の出身で、幼少時は病弱でしたが、それを克服するためにスポーツに励み、1880年にハーバードを卒業するころには、すっかりマッチョな男となっていました。 1897年に発足したマッキンリー政権では海軍次官に任命されますが、翌1898年、米西戦争が勃発すると、その職を辞して“ラフライダーズ”を率いて従軍。国民的英雄となり、凱旋後、警視総監およびニューヨーク州知事となりました。 1900年の大統領選挙では副大統領候補となり当選しますが、翌1901年9月、マッキンリーが暗殺されたことで大統領に昇格。アメリカ史上最年少の大統領となりました。 大統領就任後のエピソードとしては、テディベアの名前の由来となった熊狩りの話が有名です。 1902年の秋、趣味の熊狩りに出かけた際、獲物をしとめることができなかった大統領に気を使った側近が、年老いた雌熊を追いつめて最後の一発を頼んだところ、大統領は、「瀕死の熊を撃つのはスポーツマンシップにもとる」として撃ちませんでした。このことが新聞に掲載されて評判となり、バーモント州の玩具メーカー(現・テディベア・カンパニー)が、熊のぬいぐるみにルーズベルト大統領の通称である“テディ”と名付けて発売したのが、現在の“テディ・ベア”のルーツとされています。 ルーズベルトの時代のアメリカのアジア政策は、1898年に領有したフィリピンの防衛が最重要課題でしたから、1904年の日露戦争に関して、日本がロシアに対してそこそこの勝利を収めるのが、ベスト・シナリオと考えていました。ところが、1905年5月27~28日の日本海海戦でロシアのバルチック艦隊が全滅したことで、アメリカの太平洋戦略の前提となっていた軍事バランスが崩壊。慌てたるルーズベルトは、6月9日、日露両国に対して講和を勧告。さらに、7月、陸軍長官のウィリアム・タフト(後にローズヴェルトの後をついで大統領になります)が東京で首相・桂太郎と極秘に会談し、アメリカのフィリピン統治と日本の韓国支配を相互に承認する協定(桂=タフト協定)を締結し、日露戦争後に備えようとしました。以後、アメリカは日本に対して警戒観を強めていきます。 その後、ポーツマス条約で日露の講和が成立し、ルーズベルトはその功績で1906年のノーベル平和賞を受賞しますが、日本に対する警戒心は解けず、1908年には“白船”を日本に寄港させるなど対日圧力を強めています。 1908年の大統領選へは出馬せず、陸軍長官のタフトを支持しますが、当選後は政策の違いからタフトと対立。1912年には、“第3政党”の革新党(ブル・ムース)公認候補として大統領選に立候補しましたが落選。その次の1916年にも大統領選の挑戦したものの敗退し、1919年に亡くなりました。 なお、この切手を貼った“ラスト・エンペラー”こと溥儀宛のカバーなんてモノも以前の記事でご紹介したこともありますので、よろしかったら、そちらもご覧ください。 イベントのご案内 11月1日(土)-3日(月・祝) 全国切手展<JAPEX> ことしも、東京・池袋のサンシャインシティ文化会館と目白の切手の博物館の2ヶ所で開催します。今年の目玉は、何といっても“満洲・東北切手展”ですが、トーク関係での僕の出番は、以下のとおりです。 11月1日(土) 13:00 “満洲・東北切手展”特別シンポジウム(池袋会場) 16:00 特別対談「満洲における写真、絵葉書、郵趣」(池袋会場) 11月2日(日) 13:00 “戦後日本切手展”ギャラリー・トーク(目白会場) 15:00 中公新書ラクレ presents 『大統領になりそこなった男たち』刊行記念トーク(池袋会場) 11月3日(月・祝) 11:00 “戦後日本切手展”ギャラリー・トーク(目白会場) トークそのものの参加費は無料ですが、<JAPEX>への入場料として、両会場共通・3日間有効のチケット(500円)が必要となります。あしからずご了承ください。皆様のお越しを心よりお待ち申しております。 ★★★ 内藤陽介の最新刊 ★★★ アメリカ史に燦然と輝く偉大な「敗者たち」の物語 『大統領になりそこなった男たち』 中公新書ラクレ(本体定価760円+税) 出馬しなかった「合衆国生みの親」、リンカーンに敗れた男、第二次世界大戦の英雄、兄と同じく銃弾に倒れた男……。ひとりのアメリカ大統領が誕生するまでには、落選者の累々たる屍が築かれる。そのなかから、切手に描かれて、アメリカ史の教科書に載るほどの功績をあげた8人を選び、彼らの生涯を追った「偉大な敗者たち」の物語。本書は、敗者の側からみることで、もう一つのアメリカの姿を明らかにした、異色の歴史ノンフィクション。好評発売中! もう一度切手を集めてみたくなったら 雑誌『郵趣』の2008年4月号は、大人になった元切手少年たちのための切手収集再入門の特集号です。発行元の日本郵趣協会にご請求いただければ、在庫がある限り、無料でサンプルをお送りしております。くわしくはこちらをクリックしてください。 |
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