2008-04-16 Wed 11:27
(財)建設業振興基金の機関誌『建設業しんこう』の4月号が出来上がりました。3月までの連載「切手に描かれた建設の風景」に代わり、今月からは「切手の中の世界のダム」という新連載がスタートしました。その記念すべき第1回には、こんなモノをもってきてみました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1994年4月25日に富山県の“ふるさと切手”として発行された黒部峡谷と黒部ダムの切手です。 映画「黒部の太陽」で有名な黒部ダムは、戦後の高度成長期の電力不足を補うため、1956年から7年の月日とのべ1000万人の労働力を動員して関西電力が富山県東部の黒部川上流に建設されたアーチ式コンクリートダムです。総貯水容量は約2億トンという巨大なもので、186メートルという堤高は現在でも日本一の規模を誇っています。ちなみに、総工費の513億円は当時の関西電力の年間電気収入のおよそ半分だそうで、その点でも、このダムのスケールの大きさがうかがえましょう。 黒部ダムの建設過程に関しては、建設を行った関西電力の委託で、日本映画新社による4部作の記録映画(①黒部峡谷-黒部川第四水力発電所建設記録第1部:1957年、②地底の凱歌-黒部川第四水力発電所建設記録第2部:1958年、③大いなる黒部-黒部川第四水力発電所建設記録第3部:1961年、④くろよん-黒部川第四発電所建設記録:1963年)が作られ、建設開始から完全竣工まで全ての映像が記録されているほか、完成直後の1963年には、当時としては珍しかった空中撮影を含むNHKの生中継放送も行われています。 石原裕次郎主演の映画『黒部の太陽』(主演:三船敏郎、石原裕次郎)は、完成から5年後の1968年の作品ですが、完成までには、1962年に日活から独立した石原が当時の五社協定(俳優・監督の専属制)で俳優・スタッフの確保が難航したほか、巨額の制作資金の調達や撮影中の事故など、関係者の苦労は非常に大きかったようです。完成後、映画は後に文部省の推薦映画に選ばれたこともあり、当時の小中学生たちはかなりの割合で鑑賞したといわれていますが、石原が「こういった作品は映画館で見て欲しい」と断ったためビデオ化されておらず、現在では“幻の名画”といった趣になっています。 なお、黒部ダムは世界的にも大規模なダムというだけでなく、中部山岳国立公園・立山黒部アルペンルートのハイライトとして観光名所にもなっており、毎年、6月下旬から10月中旬にかけて行われる落差100メートル以上の観光放水は人気を集めています。 1994年に発行された富山県版のふるさと切手は、地元・富山県庄川町出身の日本画家、斉藤清策略による「黒部峡谷と黒部ダム」を取り上げたもので、遠くの雪山と目の前の新緑の対比の中に、北アルプスの雄大な自然に溶け込むダムの姿が表現された1枚です。 イベントのご案内 4月26日(土)13:00より、東京・浅草の都立産業貿易センター台東館にて開催のスタンプショウ’08会場内にて、拙著『近代美術・特殊鳥類の時代』の刊行を記念してトークイベントを行います。入場は無料で、スタンプショウ会場ならではの特典もご用意しておりますので、是非、遊びに来てください。皆様のお越しを心よりお待ち申しております。 雑誌『郵趣』を読んでみませんか 無料でサンプルをお送りしております。くわしくはこちらをクリックしてください。 |
#1248 はじめまして
初めて書き込みます。よく参考にしています。また遊びにきます。
#1252 コメントありがとうございます
ハナ様
こちらこそはじめまして。これからもよろしくお願いいたします。 |
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